保育士のとき、七夕の短冊づくりで「お子さんと一緒に考えると、いい思い出になりますよ」って、お母さんたちに軽く言っていました。
にっこり笑って、さも簡単そうに。
自分が母親になって、保育園から「短冊を書いてきてください」ってプリントをもらった瞬間、
え、何書くの?
娘に「何かお願いしたいことある?」って聞いても、「うーん」としか返ってこない。「お星さまに何お願いする?」って言い方を変えても、首をかしげるばかり。私のほうがプリントを持ったまま、首をかしげていました。
いや、アドバイスしてた側なんかい。
保育士として何十人もの短冊を見てきたはずなのに、わが子の1枚を前にすると、まったく勝手が違うんですよね。「この願い事でいいのかな」「もっとちゃんとしたこと書かせたほうがいいのかな」って、変なプレッシャーまで感じてしまって。
だから今日は、保育士時代に見てきた短冊に書かれていたことと、母親になって気づいたことを、ぜんぶお話ししようと思います。同じように短冊を前に悩んでいるあなたの、少しでもヒントになれば嬉しいです。
七夕の短冊、どんな願い事を書いていますか?
7月7日が近づくと、保育園や幼稚園から「短冊を書いてきてください」というお知らせが届きます。毎年のことなのに、毎年悩む。私だけじゃないはず、と思いたいです。
そもそも、なぜ七夕に願い事を書くようになったのか。保育士時代に子どもたちに説明していたことを、改めて整理してみます。
7月7日に笹飾りをする由来と、短冊に込める意味
七夕の始まりは、中国から伝わった「乞巧奠(きこうでん)」という行事だと言われています。奈良時代に日本に伝わり、宮中の貴族たちが、織姫にあやかって裁縫や書道の上達を願ったのが由来なんだそうです。
つまり、もともとは「技芸の上達を願う」行事だったんですね。
それが時代とともに庶民にも広まって、短冊に願い事を書いて笹に飾る風習へと変わっていきました。笹の葉は天に向かってまっすぐ伸びるから、願いが届きやすいと考えられていたとか。神様に届けるための依代(よりしろ)の意味もあったようです。
保育士のときは、こういう由来の情報をお母さんたちに「豆知識ですよ」なんてドヤ顔で伝えていました。今思うと、知識だけ渡しても、目の前の「何書けばいいの問題」は解決しないんですよね。ごめんなさい、あの頃の私。
子どもに伝えたい七夕の行事の背景
織姫と彦星が年に一度だけ天の川を渡って会える、という伝説。子どもたちにはこのお話が一番わかりやすいですよね。
でも、たなばたの夜に願い事を書くのは、単に「星にお願いする」だけじゃなくて、「自分の心と向き合う時間」でもあるんだと思います。
何が欲しいのか、何ができるようになりたいのか。小さな子にとって、それを言葉にするのはすごく難しいこと。だからこそ、この行事には意味があるんじゃないかな、と母親になって感じるようになりました。
保育士時代は「由来を知ると説明しやすいですよ」なんて言っていましたけど、本当に大切なのは「自分の気持ちを言葉にしようとする、その瞬間に寄り添うこと」だったんですね。知識として知っていたはずなのに、わが子の前でやっと腑に落ちました。
保育園で実際にあった願い事の例|年齢別リスト
保育士として働いていた頃、毎年たくさんの短冊を見てきました。正直、笑ってしまうものも、じーんとくるものもありました。
「どんな願い事があるの?」と聞かれることが多かったので、年齢別に紹介しますね。参考になれば嬉しいです。
3歳前後:生活に関する願い事(トイレ・お着替え・ご飯)
この時期は、毎日の生活そのものが願い事になることが多いです。
- 「トイレでおしっこできますように」
- 「ピーマンたべられますように」
- 「ひとりでおきがえできますように」
- 「ママとずっといっしょにいられますように」
保育園で人気だったのは、「食べ物に関する願い」と「できるようになりたいことに関する願い」でした。子どもたちにとっては、苦手な野菜を食べることも、ひとりでパジャマを着ることも、大冒険なんですよね。
面白い例だと、「おかあさんがおこらないように」というのもありました。お母さん、笑っていいのか泣いていいのか、複雑な顔をされていたのを覚えています。
4〜5歳:お友だちや遊びに関する願い事
この年齢になると、世界が少し広がります。
- 「○○ちゃんとずっとなかよくあそべますように」
- 「さかあがりができますように」
- 「プリキュアになれますように」
- 「かめんライダーみたいにつよくなりたい」
お友だちの名前が出てくるようになるのがこの時期の特徴。「一緒に遊びたい」「仲良くしたい」という気持ちが芽生えてきている証拠です。
キャラクターになりたい願いも定番ですよね。保育士時代は「現実的な願い事のほうが…」なんて思っていた時期もありましたが、今は「なりたいものがあるって、素敵なことだな」と思えるようになりました。
6歳前後:小学校入学を意識した願い事
年長さんになると、ぐっと具体的になります。
- 「しょうがっこうでともだちがたくさんできますように」
- 「じがじょうずにかけますように」
- 「いちねんせいになったらがんばる」
- 「およげるようになりたい」
小学校への期待と不安が入り混じる時期。「がんばる」という言葉が増えてくるのも、この年齢の特徴です。
子供たちの願い事を読んでいると、「ああ、この子なりに未来のことを考えてるんだな」って感じる瞬間がありました。それは保育士にとっても、ちょっと特別な時間でした。
親子で願い事を考える時間が、関わりを深めるきっかけに
保育士のとき、七夕の短冊づくりで「早めに準備すると子どもも落ち着いて考えられますよ」って、お母さんたちに伝えていました。
で、自分が母親になって、うちでも6月末から笹飾りコーナーを作って、娘と一緒に願い事の下書きを絵に描く時間を設けてみたんです。正直、準備がものすごく大変で、「なんでこんなことしてるんだろう」って思った瞬間もありました。
でも、娘が絵を描きながら「これがいい」って自分から言えるようになったとき、ふと自分の小学校時代を思い出しました。
私、毎年「シルバニアファミリーのうさぎさんがうちに来てくれますように」って書いてたんです。親戚のお姉ちゃんが持ってたうさぎの人形とおうちが、欲しくて欲しくて。今思えば、願い事を考える時間そのものが、ときめきだったんですよね。
保育士のときは「準備が大事」って頭で知ってたけど、母親になって初めて、その準備が子どもの心を育てる時間だったんだって、肌でわかりました。
「書かなきゃ」ではなく「一緒に考えよう」という声かけ
短冊を前にして「何書くの?早く決めて」って言いたくなる気持ち、ものすごくわかります。私もつい言ってしまったことがあります。
でも、そう言った瞬間、娘の顔が曇ったんですよね。「わかんない」って小さな声で言われて、ハッとしました。
保育士時代に「子どものペースに合わせて」ってお母さんたちに言ってきたくせに、自分の子どもには「早く」って言ってる。いや、言ってた側なんかい、って自分にツッコミました。
それからは「ママも一緒に考えるね」「何がいいかなぁ」って、答えを急かさないようにしています。子どもが「うーん」って考えている時間も、大切な時間なんですよね。
子どもの願いを否定せず、受け止める姿勢
「アイスクリームいっぱいたべたい」と言われたとき、正直「もうちょっとちゃんとした願い事にしたら?」って思いました。
でも、それを言葉にしなくてよかったです。
子どもにとって「アイスクリームをいっぱい食べたい」は、真剣な願いなんですよね。大人から見たら些細なことでも、子どもの心の中では輝いている願い。それを「ちゃんとしたこと」に直させようとするのは、子どもの気持ちを否定することになってしまう。
保育士時代に「お子さんの気持ちを受け止めてあげてくださいね」なんて言ってきましたけど、自分の子どもの「アイスクリーム」を受け止めるのがどれだけ難しいか、当時の私は知りませんでした。
あの頃のお母さんたち、軽々しく言ってごめんなさい。そして、あのとき「難しいですよね」って正直に話してくれたお母さんたちへ、今さらですが感謝しています。あなたたちの言葉が、今の私を支えてくれています。
七夕の短冊を家族みんなで楽しむアイデア
せっかくの行事だから、短冊を書いて終わりじゃなくて、もう少し楽しめたらいいですよね。
うちでやってみて良かったことを、いくつか紹介します。
笹の葉を飾る場所と、願い事を読み返す習慣
本物の笹を手に入れるのは大変なので、うちは100均で買った造花の笹を使っています。リビングの目につく場所に飾っておくと、娘が毎日「わたしのおねがい、みる」って言いながら眺めるようになりました。
7月7日の夜、家族で短冊を読み返す時間を作るのもおすすめです。パパの願い事、ママの願い事、娘の願い事。お互いの願いを聞き合うと、「パパはこんなこと考えてたんだ」って新しい発見があったりします。
去年の短冊を見返すと、「ああ、この願い叶ったね」という会話もできます。小さな願いでも叶うと、子どもはすごく嬉しそうな顔をするんですよね。成長の記録にもなります。
関連する絵本や歌で七夕をもっと身近に
Picture book を読むと、子どもの理解がぐっと深まります。七夕に関する絵本はたくさんあるので、図書館で探してみるのもいいですね。
「たなばたさま」の歌を一緒に歌うのもおすすめです。「ささのは さらさら」のメロディーを聞くと、子どもも「七夕だ!」ってワクワクするみたいです。
今年は、短冊に書いた願い事を家族で発表し合う「願い事発表会」をやってみようかなと思っています。楽しく過ごせたら、それでじゅうぶん。
あの頃、お母さんたちに「行事を通じて親子の絆を深めましょう」なんて言っていた自分に、深く頭を下げたいです。絆なんて、そんな簡単に言葉にできるものじゃなかったです。ただ一緒に悩んで、一緒に考えて、一緒に笑う。その積み重ねが、たぶん絆なんですよね。
だから今、同じように短冊を前に悩んでいるあなたに、何かを教えるなんておこがましいことはしません。ただ、こう言わせてください。
子どもと一緒に「何書こうか」って悩む時間、それ自体が宝物です。
Let's all take it at our own pace.
今年の娘の願い事、まだ決まっていません。でも、それでいいです。


Frequently Asked Questions
- 保育園の七夕短冊、子どもが願い事を決められない時はどうすればいいですか?
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「何でもいいよ」より少しテーマを絞ってあげると書きやすくなります。「好きな食べものは何?」「大きくなったら何になりたい?」など身近な会話から「やってみたいこと」を一緒に引き出してみましょう。子どもの言葉をそのまま書いてあげるのが一番の思い出になります。
- 七夕の短冊は何歳から自分で書けますか?
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3〜4歳頃から自分の言葉で願い事を言えるようになります。0〜2歳は保護者が代わりに書くことが多く、「〜が元気に育ちますように」「笑顔でいられますように」など親の思いを書くのもすてきです。年齢に合ったかたちで七夕を楽しんでください。

