「またこの絵本?」
同じ絵本を何度も読むときの気持ち
毎晩おなじ絵本を持ってくるわが子を前に、そう思ってしまった夜があります。
もう何十回も読んだ一冊です。ページをめくる前から、次にどんな言葉がくるのか覚えてしまっています。
それでも子どもは今日もその本を抱えてやってくるのです。
私には同じ絵本を何度も読むこともあります。
新しい絵本も本棚にあるのに、どうしてこの子はこればかりなんだろう。飽きないのかな。いつまで続くのかな。そんな気持ちで検索して、この記事にたどり着いた方もいるかもしれません。
結論から言うと、同じ絵本ばかりを繰り返し読みたがるのは、1〜3歳の子にとってごく自然なことです。その繰り返しの時間は、思っている以上に親子の間に深く記憶として残ります。
今日はその理由と、大人が飽きずに付き合うための小さな工夫を、わたしの失敗も含めてお話しさせてください。具体的には、読み聞かせの場を工夫する方法や、絵本の選び方、子どもの興味を引く声の出し方などを紹介します。
毎晩「同じ絵本ばかり」を持ってくる夜、戸惑う気持ちはあって当たり前
「また2度目?」と思ってしまう自分を責めなくていい
一日の終わり、洗い物も明日の準備も残っている夜に、「もう1回」と言われる。ページをめくりながら、頭の中では別のことを考えてしまっている。そんな自分に、ちょっとだけ罪悪感を持ってしまうことはありませんか。
わたしもそうでした。でも、大人が同じ話を何度も読んでつまらなく感じるのは、脳のしくみとしてごく普通のこと。すでに知っている情報に、こころが動きにくくなるからです。だから「飽きてきたな」と思う自分を責める必要はまったくないのです。
子どもは楽しそう、大人は少し退屈。このふたつは同時に成り立ちます。むしろ、そのズレに気づけているということは、ちゃんと子どもの様子を見ているということなんだと思います。

1〜3歳で同じ絵本を読む回数が増えるのはよくあること
1歳をすぎたあたりから、お気に入りの一冊がはっきりしてくる子は多いようです。赤ちゃんの頃はページをめくること自体が楽しかった。だんだん場面を選ぶようになります。
2歳、3歳になると、その好きな一冊がさらにはっきりします。
わたしの子育て中の友人もよく言います。「うちも同じ絵本ばかりよ」。図書館で新しい本を10冊借りても、結局読むのは家にあるボロボロの一冊です。どこの家庭でも、子どもがやることはそっくりなんですね。読み方の順番や回し読みの仕方も、だいたい似ています。
補足:好きな本がなかなか決まらない子、毎回ちがう本を持ってくる子もいます。どちらが良い・悪いということはなく、その子の今の興味のあらわれと受け取っていただければと思います。
子どもが同じ絵本を繰り返し読みたがる3つの理由
知っている世界だから安心して物語に入れる
大人にとっての「知っている=退屈」は、小さな子にとっては「知っている=安心」なのです。
1〜3歳の子は、毎日のように初めてのことに出会っています。知らない場所、知らない人、はじめて食べるもの。そんな中で、絵本の中だけは、めくれば必ず同じ展開が待っている。次に何が起こるかわかっている世界は、子どもにとってとても居心地のいい場所なんでしょうね。
とくに寝る前の読み聞かせは、一日をしずかに閉じる時間です。同じ絵本を読んでもらう安心感が、そのまま眠りへの橋になっている、ということもあるのだと思います。

繰り返しの中で言葉と内容が子どものものになる
何度も繰り返し読んでいると、あるとき子どもがセリフを先に言うようになります。まだ字は読めないのに、ページをめくる前から「ぱかっ」とか「またあした」とか、ちゃんと言うのです。
1回読んだだけでは、耳を通りすぎていく言葉。それが2度3度と重なることで、少しずつその子の中に入っていきます。言葉だけでなく、お話の順番や登場人物の気持ちも同じです。つまり、繰り返しは「覚えるための作業」ではなく、その物語をまるごと自分のものにしていく時間なのです。
読み聞かせる人の声と、そばにいる時間が好き
そしてもうひとつ。子どもが好きなのは、本の内容だけではないのかもしれません。
膝の上のあたたかさ、めくる指、少し眠そうなお父さんお母さんの声。あの本を持ってくるとこの時間がはじまる、と子どもはちゃんと知っています。わが家では夫が読むと声が低くて、同じ絵本なのに別の物語みたいに聞こえるらしく、子どもは「パパの◯◯がいい」と指名することもありました。読み手によって味が変わることまで、しっかり楽しんでいるようです。
同じ絵本を2度3度と読むことで育つ力と効果
先を知っているからこそ生まれる「予測する力」
毎晩おなじ絵本を持ってくるわが子。「またこれ?」と思いながらページをめくっていたある夜、ふと気がついたのです。これって、いないいないばぁを何度もせがまれるのと似ているなぁって。
次に何が起こるかわかっているのに、それでもうれしそうに待っている。あの「くる、くるぞ」というワクワクした顔は、絵本のページをめくる瞬間とそっくりなのです。そう思えてからは、おなじ絵本を読むじかんが、ちょっと楽しみになりました。
先を予測して、それが当たる。その小さな成功体験を、子どもは何度でも味わいたいのだと思います。「次はこうなるよ」と教えてくれるときの、あの得意げな顔。あれは、自分の予測が世界と合っていたことへの満足感なんでしょうね。

2回目からしか見えてこない絵の細部を見る楽しさ
もうひとつ、繰り返し読んで気づいたことがあります。1度目はお話を追うので精一杯だった子が、2度目、3度目になると、絵のはしっこを指さすようになるのです。
背景に描かれた小さな鳥。主人公の靴下の模様。前のページから続いている足あと。お話の筋を知っているからこそ、視線に余裕が生まれて、絵そのものを見る楽しみが出てくる。これは大人が同じ映画を2度観たときの感覚に近いかもしれません。
ですから「同じ本を何度も読むと飽きてしまうのでは」という心配は、あまりいらないように思います。子どもにとって、2回目と10回目の読書体験は、じつは同じものではないのです。
読み聞かせで気をつけたいこと:途中で「これは何色?」「主人公はどう思った?」と質問を重ねすぎると、物語の流れが切れてしまうことがあります。テストのような問いかけより、子どもが指さしたものに一緒に反応するくらいがちょうどいいようです。

飽きずに読み聞かせを続けるための小さな工夫
読み方と声を少し変えて2回目を別の一冊にする
とはいえ、大人も人間です。毎晩まったく同じテンションで読むのは、正直むずかしい。そこでわたしが試してみたのが、読み方を少しだけ変えることでした。
2回目は主人公の声をうんと小さくしてみる。わざと変なところで間を置いてみる。子どもがセリフを覚えている場面は、途中で止めて言ってもらう。
それだけで、同じ絵本が少し違う一冊になります。子どもは「ちがうよ!」と笑って訂正してくれることもあって、それはそれで楽しい時間でした。
もし疲れている夜なら、正直に「今日は1回だけね」と言ってもいいです。無理に何度も読むより、機嫌よく読み聞かせる方が伝わります。子どもは大人の言葉と表情から、安心して聴くことができます。
そのうえで、短い読み聞かせでも、十分伝わることがあります。疲れが残ったときには、予定を無理に詰めず。1回だけの読みでも丁寧に読み上げるほうが、子どもにも内容が伝わりやすくなります。
「今日は何回読む?」と子どもと先に決めておく
今日は何回読む?
子どもと先に決めておく。
切り上げ方に困っている方には、読みはじめる前に回数を決めてしまう方法をおすすめしたいです。
「今日は2回ね」と先に約束しておくと、終わりが見えているぶん、子どもも納得しやすくなります。読み終えたあとに「はい、おしまい」と言うより、ずっと穏やかに終われました。指を2本立てて見せて、1回読むごとに折っていくのも、わかりやすくていいようです。
それでも「もっと」と言われたら、その日は一冊の魅力が勝ったということ。そんな夜があってもいいのだと思います。

繰り返し読むことが前提の絵本を、一冊だけ加えてみる
もし本棚に新しい風を入れたいときは、読み返すほど発見がある絵本を1冊だけ足してみるのも手です。

マイステラの『さがして!みつけて!ふしぎなせかいりょこう』は、お子さんの名前を入れると、その子が主人公になって不思議な世界を旅していく名前入り絵本です。さがして・みつけての仕掛けがあるので、2度目3度目のほうが盛り上がることも多く、先ほどお話しした「絵の細部を見る楽しさ」と相性がいいつくりになっています。2025年度グッドデザイン賞を受賞した一冊で、友人やご家族のお子さんへの誕生日の贈りものとしても、気の利いたギフトとして喜ばれています。
自分の名前が呼ばれる絵本は、子どもにとって特別です。「これ、わたしのお話なんだ」と気づいた瞬間の顔は、贈った人のほうがうれしくなってしまうかもしれません。


同じ絵本ばかりの時期はいつ終わる?今夜の一冊が記憶になるまで
いつまで続くのか。これがいちばん知りたいことですよね。
正直なところ、はっきりした期限はありません。数週間で次のお気に入りに移る子もいれば、1年以上おなじ一冊を大切にする子もいます。ただ、言葉が増えて興味の幅が広がっていくにつれて、持ってくる本が少しずつ入れ替わっていく。そういう形で、自然に終わりはやってくるようです。
そしてある日ふと、「そういえば最近あの本を読んでいないな」と気づく。わたしはその瞬間が、思っていたよりもさみしいものでした。あんなに「またこれ?」と思っていたのに、です。
今夜も同じ絵本を持ってくるかもしれません。何十回目かの、同じページ。でもその繰り返しは、いつか子どもの中に、そしてきっと大人の中にも、あたたかい記憶として残っていくのだと思います。
みなさんのお子さんは、いまどんな一冊がお気に入りですか。もしよかったら、コソッと教えてください。
よくある質問
- 同じ絵本を繰り返し読むとどんな効果があるの?
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知っている物語だからこそ安心して物語の世界に入ることができ、先の展開を予測して当てる楽しさから「予測する力」が育ちます。また、2回目以降は物語の筋を追う負担が減るため、絵の細部に気づく楽しさも生まれます。
- 子供が同じ絵本ばかり読みたがるのはなぜ?
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1〜3歳の子にとって、知っている世界は安心できる場所であり、次に何が起こるかわかっている絵本は居心地がよいためです。加えて、繰り返し読むことで言葉やお話の内容が少しずつ自分のものになっていくことも理由です。
- 同じ絵本を何度も読むとどうなる?
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何度も読むうちに、子どもがセリフを先に言うようになるなど、言葉やお話の順番、登場人物の気持ちが自分の中に入っていきます。1回読んだだけでは耳を通り過ぎてしまう言葉も、繰り返すことで物語をまるごと自分のものにしていくのです。
- 絵本の読み聞かせで気をつけたいことは?
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途中で「これは何色?」「主人公はどう思った?」といった質問を重ねすぎると、物語の流れが切れてしまうことがあります。テストのような問いかけよりも、子どもが指さしたものに一緒に反応するくらいがちょうどいいとされています。
- 読み聞かせに飽きてしまったときはどうすればいい?
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2回目は主人公の声を小さくしたり、わざと間を置いたりと読み方や声を少し変えることで、同じ絵本でも違う一冊のように楽しめます。疲れている夜は無理せず「今日は1回だけ」と伝え、機嫌よく読んであげる方が子どもにも伝わります。
- 読み聞かせの回数はどうやって切り上げればいい?
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読みはじめる前に「今日は2回ね」と回数を先に子どもと決めておく方法がおすすめです。終わりが見えているぶん子どもも納得しやすく、指を折って数えるなどの工夫をすると穏やかに読み聞かせを終えられます。
- 同じ絵本ばかりの時期はいつ終わるの?
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はっきりした期限はなく、数週間で次のお気に入りに移る子もいれば、1年以上同じ一冊を大切にする子もいます。言葉が増えて興味の幅が広がるにつれて、持ってくる本が少しずつ入れ替わり、自然に終わりがやってくるようです。





