「うちは普通の家庭だったのに、どうして私はこんなに自分に自信がないんだろう」。子どもを寝かしつけたあと、ふとそんな問いが浮かんでくることはありませんか。虐待があったわけでも、両親が不仲だったわけでもない。それなのに、人と比べては落ち込み、褒められても素直に受け取れない。その苦しさの理由がわからないまま、今度は自分が親として子どもに向き合う日々が続いていく。この記事では、自己肯定感が低い状態と幼少期の家庭環境・親との関わりの関係を整理しながら、親を責めるのでも自分を責めるのでもない、第三の道を探していきます。過去を言葉にできると、今日からの自分への向き合い方は少しずつ変えられます。どうか焦らず、読み進めてみてください。
普通の家庭で育ったのに自己肯定感が低いのはなぜ?
「家庭環境が悪いわけではない」のに自信が持てない大人の苦しさ
自己肯定感が低い原因を検索すると、「幼少期の家庭環境の影響」という言葉が必ず出てきます。ただ、多くの人がここでつまずきます。うちは悪い家庭環境ではなかった。だから自分の苦しさには理由がないはずだ、と。すると行き場を失った苦しさは「こんなことで悩む自分が弱いだけ」という自己否定に変わってしまいます。実は、この「悩む資格がない気がする」という感覚こそ、自己肯定感が低い人に特有のつらさなのです。苦しさに大小はありませんし、悩むのに資格も要りません。まず、そこから始めましょう。
自己肯定感が低い人に起こりやすい考え方のくせ
自己肯定感が低い状態のとき、大人には次のような思考のくせが現れやすくなります。
- 褒められると「お世辞かな」「たまたまだ」と打ち消してしまう
- 失敗すると「やっぱり自分はダメだ」と存在そのものを否定する
- 頼みごとを断れず、人の顔色を先に読んでしまう
- 「〜すべき」「ちゃんとしなきゃ」が口ぐせになっている
心当たりがあっても、落ち込む必要はありません。これは性格の欠陥ではなく、子ども時代に身につけた「その環境で生き抜くための工夫」の名残であることが多いのです。
愛情がなかったわけじゃない、それでも心に残るもの
愛されて育ったという記憶と、心のどこかに残る寂しさは、矛盾なく同居します。親の愛と、子どもが受け取った実感は、必ずしもイコールではないからです。「愛はあった。でも、あの瞬間の私は認めてもらえなかった気がする」。この二つを両方とも本当のこととして持っていていい、と知ることが整理の第一歩になります。

幼少期の親との関わりが自己肯定感にどう影響するのか
普通の家族の中でも起きる小さな否定と我慢の積み重ね
自己肯定感が下がる環境というと、激しい叱責やネグレクトを想像しがちです。けれど実際には、ごく普通の家族の中で起きる小さなやりとりの積み重ねが影響することも少なくありません。たとえば「お兄ちゃんはできたのに」という比較、テストの点を見て最初に間違いを指摘される経験、泣いたときに「泣くことじゃないでしょ」と気持ちを打ち切られること。一つひとつは些細でも、繰り返されると子どもは無意識のうちに「ありのままの自分では足りない」という前提を学習していきます。親に悪意がなくても、です。
「愛されなかった気がする」と感じてしまう瞬間の正体
大人になった今、「愛されなかった気がする」と感じてしまう瞬間の正体は、多くの場合「条件つきで認められた記憶」にあります。良い成績のとき、聞き分けが良いとき、手がかからないときに褒められる。逆に感情を出したときは受け止めてもらえない。すると「役に立つ自分は愛される。素の自分はどうかわからない」という不安が残ります。愛の総量ではなく、愛の届き方の問題だった。そう捉え直すと、親を全否定せずに自分の痛みを認められるようになります。
気を使いすぎる人が育った家庭環境に見られる共通点
人に気を使いすぎる人の育った家庭には、共通点が見られることがあります。親のどちらかの感情の波が大きく、子どもが機嫌を読む役割を担っていた。あるいは親が忙しく、「困らせない良い子」でいることが家族への貢献だった。こうした環境で育つと、他人の気持ちを察する力は高い一方、自分の気持ちを後回しにするくせが強く残ります。その察する力は、今のあなたの長所でもあります。ただ、自分にも同じ優しさを向ける練習が必要なのです。

親のせいで終わらせずに整理する3つの視点
原因が親との関わりにあるとわかっても、「親のせいだ」で止まると、人生の主導権は過去に預けたままになります。かといって「親は悪くない」と蓋をすれば、痛みは行き場を失う。二択ではなく、次の3つの視点で順番に整理してみてください。
視点1|起きた事実と、そのとき感じた気持ちを分けて書き出す
ノートを二列に分け、左に「起きた事実」、右に「そのとき感じた気持ち」を書きます。たとえば左に「絵を見せたら『それより宿題は?』と言われた」、右に「悲しかった。見てほしかった」。事実と感情を分けると、「大げさに考える自分が悪い」という自己否定から距離が取れて、感情そのものを認めやすくなります。一度に全部掘り返す必要はありません。思い出せる範囲で十分です。
視点2|親も余裕がなかった一人の人だったと置き直す
次に、当時の親の状況を大人の目で眺めてみます。何歳で、どんな仕事や家事を抱え、誰に頼れていたか。すると「完璧な親」ではなく「余裕のなかった一人の人」の姿が見えてくることがあります。これは許すための作業ではありません。許せなくてもいいのです。ただ、親を等身大に置き直せると、「愛されなかった自分に価値がない」という結論から、「あの状況では届かなかっただけ」という理解へ移れます。
視点3|過去の理由ではなく、今のあなたが選べることに目を向ける
最後の視点は、時間の向きを変えることです。過去は自己肯定感が低い理由の説明にはなりますが、これからの決定権は持っていません。「私は気持ちを我慢するくせがある。だから今日は、一つだけ本音を言ってみる」。このように、原因の理解を「今の選択」につなげたとき、整理は初めて回復に変わります。

今日から始められる自分の認め方
できた小さなことを自分で言葉にする練習
自己肯定感を育て直す方法として、私が実際に試して続けやすかったのは「夜に、今日できたことを三つだけ書く」習慣です。ポイントは基準を思い切り下げること。「子どもを園に送った」「夕飯を作った」「怒鳴りそうで踏みとどまった」。当たり前に見えることこそ書く価値があります。子ども時代に外から与えられなかった承認を、今度は自分が自分に与え直す。地味ですが、続けると「何もできていない」という感覚が事実で反証されていきます。
自分を責める言葉を言い換える方法
頭の中の「またダメだった」を消すのは難しいので、消すのではなく言い換えます。
| いつもの言葉 | 言い換えの例 |
|---|---|
| また失敗した、私はダメだ | 今回はうまくいかなかった。次はやり方を変えよう |
| ちゃんとしなきゃ | 今日できる範囲で十分 |
| 迷惑をかけてしまう | 頼ることは相手を信頼すること |
コツは、親しい友人が同じ状況にいたら何と声をかけるかを考えることです。友人には言わない言葉を、自分にだけ浴びせない。それだけで心の消耗は目に見えて減ります。

整理した経験を子どもとの関わりに活かす
子どもの自己肯定感を育てる日常の声のかけ方
自分の過去を整理した経験は、そのまま子育ての手がかりになります。自己肯定感の高い子に共通するのは、「結果」ではなく「存在と過程」を認められている実感です。日常でできる声のかけ方の例を挙げます。
- 結果の前に過程を言葉にする…「最後まで描いたんだね」
- 感情を打ち切らず受け止める…「悔しかったんだね」とまず一言
- 比較ではなく本人の変化を伝える…「昨日より高く跳べたね」
- 名前を呼んで存在そのものを喜ぶ…「あなたがいてくれて嬉しい」
私たちマイステラが名前入りのパーソナライズ絵本をお届けしているのも、「自分の名前で物語の主人公になる」体験が、この年齢の子どもにとって「自分は大切な存在だ」という実感の種になると考えているからです。特別な道具がなくても、名前を呼んで気持ちを受け止める毎日の一言が、揺らいでも折れない強い心の土台を確かに育てます。
完璧な親でなくても家族の関係は育て直せる
ここまで読んで、「私も子どもを否定してしまったことがある」と胸が痛んだ方もいるかもしれません。大丈夫です。親子の関係は一度の言葉で決まるものではなく、何度でも育て直せます。言いすぎた日に「さっきはごめんね」と伝え直せる親の姿は、子どもに「失敗しても関係はやり直せる」という何よりの手本を見せます。あなた自身の自己肯定感の回復と、子どもの心を育てることは、別々の課題ではなく同じ一本の道です。過去を整理し、今日の自分を一つ認め、目の前の子に一言かける。その小さな繰り返しが、なぜか自信が持てなかったあなたの人生を、少しずつ確かなものに変えていきます。

よくある質問
- 普通の家庭で育ったのに自己肯定感が低いのはなぜですか?
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虐待や大きな家庭不和がなくても、幼少期の小さな否定や我慢の積み重ねが自己肯定感に影響することがあります。比較されたり、気持ちを受け止めてもらえなかった経験が繰り返されると、「ありのままの自分では足りない」という前提を学習してしまうことがあります。
- 自己肯定感が低い人に起こりやすい考え方のくせは何ですか?
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褒められても「お世辞かな」「たまたまだ」と打ち消したり、失敗すると「やっぱり自分はダメだ」と存在そのものを否定しやすくなります。また、頼みごとを断れず人の顔色を読んだり、「ちゃんとしなきゃ」と考えすぎる傾向もあります。
- 自己肯定感が低くなる家庭環境にはどんな特徴がありますか?
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激しい叱責やネグレクトだけでなく、普通の家族の中での小さなやりとりも影響することがあります。たとえば、きょうだいと比較される、できていない点を先に指摘される、泣いたときに気持ちを打ち切られるといった経験です。
- 気を使いすぎる人の家庭環境にはどんな共通点がありますか?
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親の感情の波が大きく、子どもが機嫌を読む役割を担っていた家庭や、親が忙しく「困らせない良い子」でいることが家族への貢献だった家庭が挙げられています。こうした環境では、他人の気持ちを察する力が高くなる一方で、自分の気持ちを後回しにするくせが残りやすくなります。
- 「愛されなかった気がする」と感じるのはなぜですか?
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本文では、その感覚の正体は多くの場合「条件つきで認められた記憶」にあると説明されています。良い成績のときや聞き分けが良いときだけ褒められ、感情を出したときに受け止めてもらえないと、「素の自分は愛されるのかわからない」という不安が残ることがあります。
- 親を責めずに幼少期の影響を整理するにはどうすればいいですか?
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まず、起きた事実とそのとき感じた気持ちを分けて書き出す方法があります。さらに、親も余裕がなかった一人の人だったと置き直し、過去の理由だけでなく今の自分が選べる行動に目を向けることが大切だとされています。
- 自己肯定感を育て直すために今日からできることはありますか?
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夜に今日できたことを三つだけ書く習慣が紹介されています。基準を低くして、当たり前に見えることも言葉にすることで、「何もできていない」という感覚を事実で反証しやすくなります。
- 子どもの自己肯定感を育てる声かけにはどんなものがありますか?
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結果だけでなく、存在や過程を認める声かけが大切だとされています。たとえば「最後まで描いたんだね」「悔しかったんだね」「昨日より高く跳べたね」「あなたがいてくれて嬉しい」といった言葉が挙げられています。
参考: こころの健康
参考: 家庭教育





