「最近、子どもが友達のことばかり話すようになった」「親の言うことを素直に聞かなくなってきた」。小学校中学年のお子さんを持つママやパパなら、こんな変化を感じたことがあるのではないでしょうか。
実はこれ、ギャングエイジと呼ばれる成長段階の始まりかもしれません。ギャングエイジとは、子どもが家族よりも友達との関係を重視するようになる時期のこと。仲間とグループをつくり、集団で行動することを好むようになります。
「うちの子、急に変わってしまった」と戸惑う保護者の方は少なくありません。でも、安心してください。この変化は子どもの発達において、とても自然なプロセスです。家庭教育の視点からも、この時期の変化を理解しておくことが大切なんですよ。
この記事では、ギャングエイジが始まる時期や男女による違い、この時期特有の行動パターンを詳しくお伝えします。さらに、子育て中の親として知っておきたい関わり方のコツもご紹介しますね。お子さんの成長を理解するための情報を、子育てに活かせるヒントとして一緒に見ていきましょう。
ギャングエイジは何歳から何歳まで?小学校での始まる時期
「ギャングエイジっていつから始まるの?」という疑問は、多くの保護者が持つものです。一般には、小学校中学年(8〜9歳)頃から高学年(11〜12歳)頃までとして紹介されることが多い時期です。ただし、お子さんによって個人差があることも覚えておいてくださいね。
「何歳から」は、実はあいまい
「何歳から」をはっきり線引きした調査は、実はあまり多くありません。よく知られている調査で対象になっているのは小学4年生以降で、小学4年生から高校3年生までの3,623人を調べた研究では、「たくさんの友だちのなかでわいわい遊びたい」「休み時間や放課後に友だちといつも一緒に遊びたい」という気持ちが、小学校高学年でとくに高いことが報告されています(武蔵由佳・河村茂雄,2021)。
ですので「小3から必ず始まる」というより、「小学校の中学年から高学年にかけて、仲間との関わりが強まっていく」と捉えるほうが、実際の研究に近い言い方になります。
小学校中学年、心が大きく動く頃
小学校の中学年になると、子どもの心に大きな変化が訪れます。それまで「ママ、パパ」と親を中心に世界が回っていたのが、少しずつ「友達」という存在が大きくなっていくのです。
この頃の子どもは、同じ学年の仲間と一緒にいることに強い喜びを感じるようになります。休み時間になると決まったメンバーで集まったり、放課後も特定の友達と遊ぶ約束をしたり。「いつものグループ」が自然と形成されていきます。
教室で見ていたこと
私が4年生の子どもたちを見ていたとき、2学期頃から、クラスの雰囲気が少し変わってきたことがありました。1学期の頃は、休み時間になると、その場にいる子たちで鬼ごっこをしたり、誰かが始めた遊びにみんなが加わったりしていました。昨日遊んだ子と、今日も一緒にいるとは限らず、友達関係も比較的自由でした。
ところが、夏休みが明けた頃から、いつも同じ子たちで集まる姿が増えてきました。休み時間になると、声をかけなくても自然と決まったメンバーが集まります。校庭へ行く子、教室で絵を描く子、好きなゲームの話をする子。それぞれに小さなグループができ、「自分はこの子たちと一緒にいる」という意識が強くなっているように見えました。
この変化は、子どもの社会性が育ち始めている証拠です。大人から与えられるルールだけでなく、自分たちでルールをつくり、守るという経験を通じて、社会の一員としての意識が芽生えていきます。
ギャングエイジが終わる時期と次の成長段階
「ギャングエイジはいつまで続く?」という質問もよく聞かれます。小学校を卒業する頃には落ち着いてくる、と紹介されることが多い時期です。
ただし、これは「ある日突然終わる」というものではありません。小学校高学年になると、子どもは少しずつ集団への依存から離れ、より個人的な友人関係を築くようになります。「みんなと一緒」から「この子と特に仲がいい」という親密な関係へと変化していくのです。
終わりではなく、切り替わり
先ほどの3,623人の調査では、仲間と一緒に遊びたいという傾向は小学4年生から6年生にかけて高い水準が続き、中学生になると、秘密や本当の気持ちを分かち合う関係の得点が高まっていきます。さらに高校生では、考え方の違いも認め合う関係の得点が高くなります(武蔵由佳・河村茂雄,2021)。
つまり「小6でぱたりと終わる」というより、「中学生頃から友達との関わり方の質が変わっていく」と考えるほうが自然です。
そして、小学校卒業から中学校にかけて、多くの子どもは思春期という次の成長段階に入ります。思春期には、身体的な変化とともに、自分自身のアイデンティティを模索する時間が増えていきます。
つまり、ギャングエイジは「家族中心の世界」から「社会の中の自分」へと成長していく、大切な橋渡しの時期と言えるでしょう。

男の子と女の子で違う?ギャングエイジの行動特徴
ギャングエイジの行動パターンには、男女で異なる傾向が見られることがあります。ただ、ここは思い込みが広がりやすいところでもあるので、研究で確認できていることと、そうでないことを分けてお伝えしますね。
男の子に見られる集団行動と仲間意識
男の子のギャングエイジでは、「みんなで同じことをする」という集団行動が目立つ傾向があります。サッカーや鬼ごっこなど、身体を動かす遊びを大人数で楽しむ姿がよく見られます。
差はあるけれど、ごくわずか
この傾向は、数値でも確認されています。3,623人を対象にした調査では、「大人数で遊びたい」「スポーツやゲームをして遊びたい」といった項目の得点が、全学年を通して男子のほうが女子より高いという結果が出ています(武蔵由佳・河村茂雄,2021)。
ただし、その差はごくわずかです。12点満点の尺度で、小学4〜6年生の男女差は0.1〜0.3点ほど。「男の子はこう、女の子はこう」と決めつけられるほどの開きではありません。
この時期の男の子は、仲間との一体感を特に大切にします。同じゲームをやる、同じものを集める、同じ言葉を使う。「俺たちは仲間だ」という意識を、共通の行動や興味で確認し合うのです。
また、ちょっとした冒険や、大人には内緒の秘密を共有することも好みます。先生に隠れて何かをする、といったスリルを楽しむ姿も。これは決して悪いことばかりではなく、仲間との絆を深める一つの方法なのです。
ただし、注意したいのは、集団の勢いで思わぬ問題行動に発展することもあるという点。一人ではしないようなことも、仲間と一緒だと「面白そう」とやってしまうケースがあります。
女の子に現れる関係性の変化
女の子の場合、遊びの人数そのものより、関係の中身が少しずつ変わっていくのが特徴です。おしゃべりや交換日記、一緒にお弁当を食べるといった、コミュニケーションを中心とした関わり方が増えていきます。「今日は誰と一緒にいたか」が、その日の学校生活の満足度を左右することも。
よくある誤解を、ひとつ
ここでよくある誤解を一つ。「男の子は大人数、女の子は2〜4人の少人数」と言われることがありますが、小学2・4・6年生89人に面接をした調査では、小学6年生の仲良しグループの人数は男女とも3〜6人が最も多いという結果でした。むしろ、メンバーが固定される傾向は女子より男子のほうが強かったと報告されています(國枝幹子・古橋啓介,2006)。
一方で、はっきり違いが出たのは関係の深さのほうです。秘密を話せる友達の人数は学年が上がるほど増え、男子より女子のほうが多いこと。そして女子では、小学4年生の時点で「友達がいないと困る」という気持ちが大きく強まることが報告されています(國枝幹子・古橋啓介,2006)。
そのぶん、グループ内での関係性の変化に敏感になりやすい面もあります。「昨日は私と仲良くしてくれたのに、今日は別の子と話している」といった小さな変化に、心が揺れることがあるのです。
教室で見ていたこと
そんな中、いつも3人で遊んでいる子どもたちがいました。ある日の休み時間、そのうちの2人が先に校庭へ出ていきました。もう一人の子は教室に残り、しばらく黙っていました。その後の授業でも、どこか落ち着かない様子でした。声をかけてみると、「二人だけで遊びたかったんだと思う」と話してくれました。
先に出ていった2人に、仲間はずれにするつもりはありませんでした。休み時間になったので、ただ先に外へ出ただけだったのです。けれども、残された子にとっては、「自分だけ声をかけてもらえなかった」ということが、とても大きな出来事でした。
発達のペースの違いと、親が感じる戸惑い
男女で発達のペースに違いがあることも、保護者の方が知っておきたいポイントです。ただ、「女の子は小2の終わりから、男の子は小3後半から」というように月単位で線を引ける根拠は、実はありません。
違いが出るのは、次の段階
研究から言えるのは、もう少しゆるやかなことです。友達との関係が「一緒に遊ぶ」から「気持ちを分かち合う」へと切り替わる時期が、女子は小学6年生頃、男子は中学1年生頃に見られる、という報告があります(武蔵由佳・河村茂雄,2021)。別の面接調査でも、親密な友人関係ができる時期は男子より女子のほうが早いと考察されています(國枝幹子・古橋啓介,2006)。
つまり違いがあるのは「ギャングエイジが始まる時期」というより、「次の段階へ移っていく時期」のほうなんですね。
きょうだいがいるご家庭では、「お姉ちゃんのときはこうじゃなかった」「弟はまだそんな様子がない」と感じることもあるでしょう。また、同じ学年でも、すでにグループをつくっている子と、まだ自由に遊んでいる子がいて、親として「うちの子は大丈夫かな」と心配になることもあるかもしれません。
大切なのは、発達のペースは一人ひとり違うということ。周りの子と比べて焦る必要はありません。お子さんの様子をよく観察しながら、その子のペースに合わせて見守っていきましょう。

ギャングエイジ期の子どもに見られる行動変化
ギャングエイジに入ると、子どもの行動にはいくつかの特徴的な変化が現れます。「うちの子、最近おかしい」と感じる前に、どんな変化が起きやすいのかを知っておくと、冷静に対応できますよ。
親より友達を優先する関わり方の変化
「週末、家族でお出かけしない?」「えー、友達と遊ぶ約束してるからムリ」。こんなやりとりが増えてきたら、それはギャングエイジの典型的なサインです。
この時期の子どもにとって、友達との時間は何よりも大切なもの。家族との予定より友達との約束を優先するのは、わがままではなく、子どもなりの社会性が育っている証拠です。
とはいえ、親としては少し寂しい気持ちになることもありますよね。「昨日まであんなにベッタリだったのに」と思うのは自然なこと。でも、これは子どもが自分の世界を広げている大切な過程なのです。
親が不要になるわけではない
心のよりどころが親から友達へ移っていくことは、面接調査でも確認されています。ただ同時に、小学校高学年になっても親への依存は残っていることも報告されています(國枝幹子・古橋啓介,2006)。
家族との時間が減っても、子どもの心の中で親の存在がなくなったわけではないんですね。むしろ、安心できる家があるからこそ、外の世界に飛び出していけるのだと思います。
家でのルールや親の言葉に反発する姿勢
「もう、それくらい自分で決めたい!」「友達のお家はそんなこと言われないよ」。ギャングエイジの子どもは、家庭のルールに対して反発することが増えてきます。
これまで素直に聞いていた生活のルールや習い事の予定に、「なんで?」「やりたくない」と態度で示すようになることも。親の言葉をそのまま受け入れるのではなく、自分なりに考えて判断しようとする姿勢が出てくるのです。
この態度は、単なる反抗心ではありません。「自分で決めたい」という自立への第一歩。子どもが大人になっていくために必要な、心の成長のプロセスです。
ただし、注意したいのは、何でも言いなりになる必要はないということ。安全に関わることや、家族としての大切なルールは、理由を説明しながら守ってもらうことが大切です。
仲間外れや集団内での立ち位置への敏感さ
ギャングエイジの子どもは、グループの中での立ち位置にとても敏感になります。「みんなと一緒にいられているか」「仲間から外されていないか」を常に気にするようになるのです。
大人から見ると、少しの行き違いに見えるかもしれません。しかし、この時期の子どもにとって、仲のよい友達と一緒にいられるかどうかは、学校生活の中でとても大きな意味を持っています。
教室で見ていたこと
席替えで仲のよい友達と離れただけで、ひどく不安そうになる子もいました。仲のよい子が別の友達と遊んでいるのを見て、「私より、あの子の方が好きなんだ」と思い込んでしまうこともありました。
大人はつい、「ほかの子とも遊べばいいのに」と考えてしまいます。けれども、その子にとっては、特定の友達との関係が、学校での安心感そのものだったのだと思います。
友達が「心の支え」に変わる頃
「友達がいなかったら困る」と答える理由が、学年とともに変わっていくことも報告されています。低学年では「一緒に遊べない」「話ができない」が多いのに対し、高学年になると「助け合えない」「相談できない」「さびしい」といった、内面的な理由が増えていきます(國枝幹子・古橋啓介,2006)。
友達が「遊び相手」から「心の支え」に変わっていく。だから、ちょっとしたすれ違いにも心が揺れるのだと思います。
こうした敏感さは、友達との関係を学ぶ過程で自然に生まれるもの。「そんなことで気にしなくていいよ」と軽く流すのではなく、子どもの気持ちに寄り添って聞くことが大切です。
「いつものメンバー」は、思ったより固まっていない
グループができると、親としては「うちの子、あの子たちに縛られていないかな」と心配になることもあります。でも、意外な調査結果もあるんですよ。
89人のうち、3人だけ
リーダーがいて、メンバーが入れ替わらず、放課後や休日も同じ顔ぶれで過ごす。そんな典型的なグループにあてはまった子は、面接調査を受けた89人のうちわずか3人だけでした。基準を少しゆるめても、該当したのは十数人にとどまっています(國枝幹子・古橋啓介,2006)。
研究者は、昔ながらの固定的で閉鎖的なグループは、減っている可能性があると考察しています。ただしこれは1校・89人の調査なので、全国的な傾向として受け取るのは慎重に。
教室で見ていても、たしかに「いつものメンバー」はあるけれど、日によって入れ替わったり、放課後は別の子と遊んでいたりする。そのくらいの緩やかさのほうが、私の実感には近い気がします。

反抗期との違いは?ギャングエイジ特有の成長サイン
「これって反抗期の始まり?」と心配になる保護者の方も多いのではないでしょうか。実は、ギャングエイジと反抗期には、いくつかの違いがあります。その違いを理解することで、お子さんへの対応もしやすくなりますよ。
思春期反抗期とギャングエイジの心理的な違い
ギャングエイジと反抗期の違いは何かというと、根底にある心理が異なります。
思春期の反抗期は、「自分とは何か」というアイデンティティの模索が中心です。親から離れて自分自身を確立しようとする過程で、親の価値観や考えに反発することが多くなります。身体的な変化も伴い、感情の起伏が激しくなることも特徴です。
一方、ギャングエイジは、「仲間と一緒にいたい」という気持ちが行動の中心にあります。親に反発するのは、親より友達を優先したいから。自分自身への葛藤というより、「仲間の中での自分」を大切にしている段階です。
具体的に言うと、思春期反抗期では「一人になりたい」「放っておいて」という態度が目立つのに対し、ギャングエイジでは「友達と一緒にいたい」「仲間と遊びたい」という積極的な欲求が前面に出ます。
また、ギャングエイジの子どもは、家では反発しても、仲間の前では協調性を見せることが多いのも特徴。思春期反抗期では、どの場面でも不機嫌な態度が続くことがありますが、ギャングエイジでは場面によって態度が変わりやすいのです。
この時期だからこそ伸びる社会性と自立心
ギャングエイジは、決して「厄介な時期」ではありません。むしろ、この時期だからこそ伸びる力があるのです。
まず、コミュニケーション能力が大きく発達します。仲間との関わりの中で、自分の意見を伝える方法、相手の気持ちを理解すること、意見が食い違ったときの解決方法を学んでいきます。
また、ルールを守ることの大切さも身につけます。大人から与えられたルールではなく、仲間同士で決めたルールを守る経験は、社会のルールを理解する土台になります。
さらに、自立心も育っていきます。「自分で決めたい」「自分でできる」という気持ちは、将来の自立に向けた大切な第一歩。親の言いなりではなく、自分で考えて行動する力が少しずつ備わっていきます。
教室で見ていたこと
もちろん、ときには「この遊びは3人だけだから入れない」「あの子には教えないで」といった言葉が出ることもありました。表面上は一緒に遊んでいても、誰か一人だけが我慢していることもあります。仲間から外されるのが怖くて、本当は嫌なのに断れない子もいます。
そうした問題も含めて、子どもたちは人との距離の取り方や、自分の気持ちを伝える方法を学んでいくのです。

ギャングエイジの子どもへの親の関わり方と対応のコツ
「じゃあ、親としてどう関わればいいの?」という疑問にお答えします。ギャングエイジの子どもへの関わり方で大切なのは、適切な距離感を保ちながら、子どもの成長を見守ることです。
見守る距離感を保ちながら信頼関係を築く方法
ギャングエイジの子どもには、「手を離すけど、目は離さない」という距離感が大切です。すべてを管理しようとするのではなく、かといって完全に放任するのでもない、絶妙なバランスが求められます。
具体的には、以下のような関わり方がおすすめです。
- 友達と遊ぶ時間を尊重しつつ、帰宅時間は決めておく
- 習い事や生活の基本的なルールは守ってもらいながらも、細かいことは子どもに任せる
- 「今日は何したの?」と毎日詮索するのではなく、子どもが話したいときに聞く姿勢を持つ
大切なのは、「困ったときはいつでも頼れる」という安心感を子どもに与えること。普段は距離を置いていても、何かあったときに相談できる関係性を保っておきましょう。
また、誰と誰が遊んでいるかだけでなく、いつも誰が遊びを決めているのか、意見を言えずにいる子はいないか、遊び終わった後に表情が暗くなっていないかを見るようにすると、子どもの状態を把握しやすくなります。
子どもの話を否定せず受け止める聞き方
ギャングエイジの子どもが何かを話してくれたとき、まずは否定せずに聞くことがポイントです。
「そんなことで悩まなくていいよ」「友達なんてほかにもいるでしょ」といった言葉は、子どもの気持ちを軽視しているように伝わってしまいます。たとえ大人から見れば小さなことでも、子どもにとっては大きな出来事なのです。
教室で見ていたこと
「そんなことで気にしなくていいよ」と言うのではなく、何が悲しかったのかを聞くと、あの日教室に残っていた子は、「もう一緒に遊びたくないのかと思った」と話しました。
先に出ていった2人に、そんなつもりはまったくなかったのに。友達とのつながりを強く意識するようになるからこそ、ほんの小さな出来事でも、子どもの心は大きく揺れるのだと思います。
「そうだったんだね」「それは嫌だったね」と、まずは子どもの気持ちを受け止めましょう。何が悲しかったのかを聞くと、子どもは自分の気持ちを言葉にする練習にもなります。
解決策を急いで提示するのではなく、「どうしたいと思う?」と子ども自身に考えさせることも大切。自分で考えて決める経験が、子育てにおいても自立心を育てる助けになります。
家庭でできる自己肯定感を育てる声かけ
グループ内での立ち位置に敏感になるこの時期、子どもの自己肯定感を家庭で支えることはとても重要です。声のかけ方については、自己肯定感を高める言葉と、つい言ってしまいがちな言葉をまとめた記事もあわせて読んでみてください。
「友達に好かれるかどうか」で自分の価値を測りがちなこの時期。だからこそ、家庭では「あなたはあなたのままでいい」というメッセージを伝え続けてあげましょう。そもそも自己肯定感とは何なのかを知っておくと、この時期の関わり方も考えやすくなります。
具体的な声かけとしては、こんな言葉がおすすめです。
- 結果ではなく努力を認める:「頑張ってたね」「よく考えたね」
- 存在そのものを肯定する:「あなたがいてくれて嬉しい」
- 失敗を責めない:「うまくいかないこともあるよ」「次またやってみよう」
また、無理に「ほかの子とも仲よくしなさい」と言うのではなく、自然に人間関係を広げられる機会をつくることも効果的です。学校でも、授業のグループ活動や係活動など、いつもの仲良し同士だけにならない場面をつくると、「この子も面白いんだね」と気づくきっかけになりました。
言葉以外で「大丈夫だよ」を伝える
とはいえ、この時期の子どもに毎日言葉で伝えるのは、なかなか難しいものです。照れくさそうにされたり、聞き流されたり。私も現場で何度も経験しました。
そんなときに助けになるのが、言葉以外の形で「あなたを大切に思っている」が伝わるものです。
私は甥や姪に、季節ごとに絵本を贈っています。あるとき、自分の名前が主人公として入っている絵本を渡したら、表紙を指でなぞって「これ、ぼくの本だ」と言った顔が、今でも忘れられません。特別なことを言ったわけではないのに、自分の名前がそこにあるというだけで、こんなに嬉しそうにするんだなと思いました。
上のお子さんがこの時期なら、下に小さなきょうだいがいるご家庭も多いかもしれません。こうした絵本は3歳から8歳くらいまでが対象なので、弟さん妹さんへの贈り物にも向いています。甥っ子や姪っ子へのプレゼントを探している方にも。
外の世界で少し疲れて帰ってきた日にも、自分の名前が呼びかけてくれる本が本棚にある。友達との関係に揺れる日が増えてくる時期だからこそ、そういう一冊が、そっと背中を支えてくれることもあるように思います。名前入り絵本について詳しくまとめたページもあるので、気になった方はのぞいてみてくださいね。

おわりに
この頃から、子どもたちは少しずつ、家族とは別の「友達の世界」をつくり始めます。友達と親しくなり、仲間を大切に思うようになる一方で、寂しい思いをしたり、すれ違ったりすることも増えていきます。
そうした出来事の一つひとつを通して、子どもたちは人との距離の取り方や、自分の気持ちを伝える方法を学んでいくのだと思います。
親としてできることは、その成長を信じて見守りながら、いつでも帰ってこられる「安心できる家」であり続けること。それが、ギャングエイジを歩いていく子どもへの、何よりのサポートになるのではないでしょうか。
参考文献
- 武蔵由佳・河村茂雄(2021)「小学生,中学生,高校生における友人関係の発達的変化に関する研究」『学級経営心理学研究』第10巻第1号、43-52頁
https://doi.org/10.34318/jacmp.10.1_43 - 國枝幹子・古橋啓介(2006)「児童期における友人関係の発達」『福岡県立大学人間社会学部紀要』第15巻第1号、105-118頁
https://www.fukuoka-pu.ac.jp/kiyou/kiyo15_1/1501_kunieda.pdf
よくある質問
- ギャングエイジとは何ですか?
-
ギャングエイジは、小学校中学年から高学年にかけて、家族より友達との関係を重視し、仲間と集団で行動することを好むようになる時期です。グループでの経験を通じて社会性が育っていきます。
- ギャングエイジの男の子の特徴は?
-
大人数での遊びやスポーツを通じて友人関係を築く傾向が、女の子よりわずかに高いことが報告されています。ただしその差は小さく、「男の子はこう」と決めつけられるほどではありません。
- ギャングエイジの始まる時期に幅はありますか?
-
始まる時期を明確に区切った調査は多くありません。個人差が大きく、男女で開始時期に差があるという明確な根拠もありません。違いが見られるのは、むしろ次の段階へ移っていく時期のほうです。
- ギャングエイジ期の女の子の特徴は?
-
グループの人数は男女とも3〜6人が最も多く、女の子だけが少人数というわけではありません。特徴的なのは関係の深さで、秘密を話せる友達の人数が男の子より多く、小学4年生頃から「友達がいないと困る」という気持ちが強まることが報告されています。
- ギャングエイジと反抗期の違いは何ですか?
-
ギャングエイジは、友情を通じて社会性を育む時期で前向きな側面が強いのに対し、反抗期は自立に向けた親への抵抗を含む時期で感情的な反発が顕著になります。
- 親がギャングエイジの子にできるサポートは?
-
子どもの友人関係を理解し、見守る姿勢を持ちながら、過度な干渉は避けることが大切です。トラブルのときは、解決策をすぐ示すよりも、まず話を受け止め、「どうしたいと思う?」と子ども自身に考えてもらうことが助けになります。
- ギャングエイジはいつまで続く?
-
小学校を卒業する頃には落ち着いてくるとされますが、ある日突然終わるものではありません。中学生になると、秘密や本当の気持ちを分かち合う関係へと、友達との関わり方の質が変わっていきます。

