「チョコレートって何からできてるの?」
この質問をされたとき、大人でも意外と答えられません。カカオという実があること、それが遠い国で育っていること、何十もの工程を経てあの一粒になること——。チョコレートは、実は「社会科の入口」です。
学習・知識系のチョコレート絵本は7作品。物語系の21作品に比べると数は少ないですが、一冊一冊の情報密度が濃い。「おいしい」の裏側を知ったとき、子どもの世界は確実に広がります。
このページでは、学習・知識系チョコレート絵本を「知りたい気持ち」の深さで3つのタイプに分けてご紹介します。
「チョコレート絵本をもっと知りたい方はこちら」→ 「チョコレート絵本おすすめ完全ガイド」

学習・知識系チョコレート絵本は「知りたい深さ」で選ぶ
同じ「チョコレートの作り方」を扱っていても、本によって深さがまったく違います。
はじめての「なんで?」に応える本。 写真やイラストを中心に、チョコレートができる過程をシンプルに見せてくれる。4歳ごろから楽しめます。
世界とつながる本。 カカオが育つ国、作る人たちの暮らし、フェアトレード。チョコレートを入口に、社会や世界に目が向く本です。
大人も読み込む本。 科学的な視点や文化的な背景まで踏み込んだ、子ども向けの枠を超えた作品。小学生から大人まで、長く手元に置いておきたいタイプです。
はじめての「なんで?」に応えるチョコレート絵本(3作品)
チョコレートに興味を持ち始めた子どもの「知りたい」を、やさしく受け止めてくれる本です。
「チョコレートがおいしいわけ」|作・絵:はんだのどか|カカオから学ぶ知識絵本
出版社:アリス館 / 初版発行日:2010年2月10日
カカ」と「ポド」がカカオからチョコレートになる工程を教えてくれる!
アフリカのカカオ農園から工場、そしてお店に並ぶまで――。カカオの実のキャラクター「カカ」と「ポド」が案内役となり、チョコレートができるまでの道のりを楽しくわかりやすく教えてくれる知識絵本です。物語仕立てで小さいお子さんでもワクワクしながら読め、4歳から大人まで楽しめます。身近なチョコレートに新しい発見がきっと見つかる一冊です。
学びの要素がしっかり入っていて、読み聞かせだけでなく知育にもピッタリ! SDGsやフェアトレードの入口としてもおすすめです。
「どうやってできるの? チョコレート」|写真:田村 孝介 監修:Dandelion Chocolate Japan株式会社|しぜんにタッチ!シリーズ
出版社:ひさかたチャイルド / 初版発行日:2023年1月19日
カカオから板チョコができるまでを、豊富な写真としかけで追う!
原料のカカオから板チョコレートができるまでを、豊富な写真としかけ画面を使いながら、順を追ってみていく写真絵本です。Dandelion Chocolate Japanの監修による正確な情報で、原料が変化して食べ物になるふしぎを体感できます。社会の仕事にも目が向く内容で、食育の教材としても活用されています。
しかけ画面が子どもの興味を引きつけます。実際の工房を取材した臨場感ある写真が魅力です。
「チョコレートだいすき」|写真撮影:古島 万理子 監修:大西 寿|カカオのお話+手作りレシピ付き写真絵本
出版社:ひさかたチャイルド / 初版発行日:2009年1月
チョコレートの原料カカオの話から、手作りレシピまで!
チョコレートの原料であるカカオの話から始まり、チョコレートが作られる過程をわかりやすい写真で紹介する絵本です。後半には子どもだけでも簡単に作れる手作りチョコレートのレシピも掲載されており、学びと実践が一冊で楽しめます。知識とレシピの両方が入った、お得感のある写真絵本です。
学習とレシピの両方が入っているので、バレンタインの手作りチョコ準備にも最適!
世界とつながるチョコレート絵本(2作品)
チョコレートを入口に、カカオが育つ国や作る人たちの暮らし、フェアトレードの仕組みに目が向く本です。
「すがたをかえる たべものしゃしんえほん チョコレートができるまで」|構成・文:宮崎 祥子 写真:白松 清之|絵本ナビプラチナブック認定
出版社:岩崎書店 / 初版発行日:2015年1月27日
カカオ豆が「すがたをかえて」チョコレートになる過程を追う写真絵本。
原料のカカオ豆がチョコレートになるまでを追いかけた楽しい写真絵本です。カカオ豆の焙煎からチョコレート作りをする工房まで取材し、食べ物が「すがたをかえる」過程をダイナミックな写真で紹介しています。絵本ナビプラチナブック認定作品で、食育や社会科の学びにもつながる一冊です。
「すがたをかえる」シリーズは学校の教材としても人気。チョコレート版は特に子どもたちの関心が高いです。
「イチからつくる チョコレート」|絵:バンチハル 編集:NPO法人APLA(株)オルター・トレード・ジャパン|フェアトレードとものづくりを学ぶ
出版社:農山漁村文化協会(農文協) / 初版発行日:2018年1月17日
カカオ豆からチョコレートを「イチからつくる」プロセスを追体験!
NPO法人APLAとオルター・トレード・ジャパンの編集による、カカオ豆からチョコレートを一から作る過程を詳しく描いた知識絵本です。フェアトレードの観点も取り入れ、生産者の暮らしにも目を向けた社会的な内容が特徴。ものづくりの楽しさと、グローバルな視点での食の問題を同時に学べる一冊です。
SDGs教育やフェアトレード学習の導入にも最適。高学年向けの総合学習の資料としてもおすすめです。
大人も読み込むチョコレート絵本(2作品)
子ども向けの枠を超えた、科学や文化の深みまで踏み込んだ作品です。
「ひと粒のチョコレートに」|作:佐藤清隆 絵:junaida|チョコレートの科学と美しい絵
出版社:福音館書店 / 初版発行日:2023年10月6日
ひと粒のチョコレートに込められた、科学と情熱の物語。
チョコレートがどのようにできるのか、その過程を科学的な視点から丁寧に描いた知識絵本です。チョコレート研究の第一人者・佐藤清隆さんの確かな知識と、junaidaさんの美しく幻想的なイラストが見事に融合。子どもだけでなく大人も楽しめる、装丁も素晴らしい一冊です。絵本ナビプラチナブックにも認定されています。
大人へのプレゼントにもおすすめの美しい絵本。科学的な内容と芸術的なイラストの融合が魅力です。
「チョコレートだいすき!」|作:ブライアン・モーセズ 絵:マイク・ゴードン 訳:いしわたみさこ|チョコレートの歴史と文化
出版社:教育画劇 / 初版発行日:2000年
チョコレートの歴史と文化をわかりやすく紹介!
チョコレートの歴史や世界の文化について、子ども向けにわかりやすく紹介した翻訳絵本です。ブライアン・モーセズの文とマイク・ゴードンの親しみやすいイラストで、チョコレートにまつわる知識を楽しく学べます。「チョコレートがどこから来たの?」という子どもの素朴な疑問に答えてくれる一冊です。
学習・知識系チョコレート絵本の選び方|年齢別のポイント
4〜5歳なら、『チョコレートがおいしいわけ』がおすすめです。キャラクターが案内してくれる物語仕立てなので、読み聞かせでも楽しめます。「チョコレートって何からできてるの?」という最初の疑問に、やさしく答えてくれる一冊。
小学校低〜中学年になると、写真絵本が力を発揮します。『どうやってできるの? チョコレート』や『すがたをかえる たべものしゃしんえほん』は、実際の工房を取材した臨場感があり、社会科の学びにもつながります。
小学校高学年〜大人には、『ひと粒のチョコレートに』と『イチからつくる チョコレート』。科学的な視点やフェアトレードの観点が加わり、チョコレートを通じて世界を考える体験ができます。大人が読んでも黙って読み込んでしまうタイプです。
▶ blog.mystella.me/chocolate-ehon-story/
食育・SDGsの教材として使うなら

学習・知識系のチョコレート絵本は、食育やSDGs教育の導入にも最適です。
食育の入口には、『チョコレートがおいしいわけ』や『どうやってできるの? チョコレート』。「食べものがどこから来るのか」を自然に考えるきっかけになります。
SDGs・フェアトレードの導入には、『イチからつくる チョコレート』が一番。カカオを育てる人たちの暮らしにまで目を向けた内容で、総合学習の資料としても使われています。
自由研究のテーマとしても、チョコレートの製造工程は人気があります。『すがたをかえる たべものしゃしんえほん』は、写真が豊富なので調べ学習のベースにしやすい一冊です。
学習系だけじゃない|他のジャンルのチョコレート絵本も
学習系の絵本で「チョコレートの裏側」を知ったあと、物語系の絵本を読むと、感じ方が変わることがあります。カカオが遠い国から届くことを知ったうえで『チョコレートのまち』の世界を見ると、ファンタジーの奥に現実の重みが加わる。
逆に、物語系で興味を持った子が「本当はどうやって作るの?」と知りたくなって、学習系に手を伸ばすこともあります。ジャンルをまたいで読むと、チョコレート絵本の世界がさらに広がります。
▶ チョコレート絵本の全体ガイドに戻る → 【チョコレート絵本のカタログ】 ▶ 物語で楽しむチョコレート絵本 → 【物語で楽しむチョコレート絵本】 ▶ つくる体験のチョコレート絵本 → 【作って楽しむチョコレート絵本】


「知る」の先にある、「自分だけの物語」
チョコレートがどうやってできるのかを知った子どもは、世界の広さを少しだけ実感します。
遠い国で育つカカオ。何十もの工程を経て届く一粒。「知る」ことは、世界とつながる最初の一歩です。
その一歩を踏み出した子どもが、自分の名前が入った物語を手にしたとき——「知る」と「物語」がつながる瞬間があります。世界にたった一冊の絵本のなかに、自分や家族が登場する体験。たくさんのことを知った子どもは、きっと自分の物語も大切にできるはずです。


