チョコレート絵本のなかで、一番作品数が多いのが物語系です。全42作品中、21作品——つまり半分がここに集まっています。
ナンセンス、ファンタジー、心温まる日常の話。同じ「物語系」でも、中身はまるで違います。2歳の子が声を上げて笑う本と、5歳の子が読み終わったあと静かになる本では、選ぶ基準も、読み聞かせの手応えも別ものです。
このページでは、チョコレートの物語絵本21作品すべてを、読んだあとの子どもの反応で3つのタイプに分けてご紹介します。
チョコレートの物語絵本は「読んだあとの反応」で選ぶ
物語系のチョコレート絵本は、読み聞かせのあとに子どもがどうなるかで3つに分かれます。
楽しい・笑える絵本。 ナンセンスやユーモアで、理屈抜きに楽しい。意味がわからなくても笑える。読み聞かせの入口として最強のタイプです。
ファンタジー・冒険の絵本。 チョコレートが街になったり、未来が見えたり、妖精が現れたり。不思議な世界に入り込んで、想像力を広げてくれます。
心あたたまる絵本。 やさしさや共感が静かに響く。読み終わったあと、じんわり気持ちがあたたかくなる。そういう体験をさせてくれる絵本は、意外と少ない。
この3つのどれを求めているかで、選ぶ本は変わります。迷ったときは、「今日、この子にどんな時間を渡したいか」で決めてください。
楽しい・笑えるチョコレート絵本(7作品)
ナンセンスやユーモアで、理屈抜きに楽しい。読み聞かせの空気をいっきに温めてくれるタイプです。
「チョコレートパン」|作・絵:長 新太|ナンセンス絵本の傑作
出版社:福音館書店 / 初版発行日:2010年3月(※こどものとも初出:2004年4月)
チョコレートの池に飛び込んだら…? シンプルで不思議な、長新太ワールド全開の一冊!
山の中に、チョコレートの池がありました。そこへパンがトコトコ歩いてきて、池に浸かると、チョコレートパンのできあがり。続いてゾウがやってきて、ウサギやリスやネズミもやってきて、みんな池に入ります。ナンセンスの神様・長新太さんが描く、シンプルなのに先の読めない展開が子どもを夢中にさせます。鮮やかな色彩と短い文章で、2歳頃からの読み聞かせにもぴったりです。
バレンタインの読み聞かせイベントにも大人気。チョコレートの甘い香りが漂ってきそうな、幸せなナンセンス絵本です。
「チョコレータひめ」|作:もとした いづみ 絵:樋上公実子|チョコレートが大好きなお姫さま
出版社:教育画劇 / 初版発行日:2008年10月
チョコレートが大好きすぎるお姫さまの、おかしなお話。
チョコレートが大好きなお姫さま「チョコレータひめ」のユーモラスな物語です。もとしたいづみさんの楽しいストーリーと、樋上公実子さんの華やかでおしゃれなイラストが、女の子を中心に人気を集めています。
「チョコレート・ウォーズ」|作:エリス・ドラン 訳:三辺 律子|チョコレート vs 野菜のバトル!
出版社:光村教育図書 / 初版発行日:2019年12月20日
チョコレートと野菜が戦争!? ユーモアたっぷりの翻訳絵本。
チョコレートと野菜たちが繰り広げる、ユーモアたっぷりの「戦争」を描いた翻訳絵本です。エリス・ドランの独特のイラストと、三辺律子さんの軽妙な翻訳が光ります。
食べ物をテーマにした笑える展開の中に、バランスのよい食生活へのメッセージも隠されている、楽しく読める一冊です。
「チョコだるま」|作・絵:真珠 まりこ|バレンタインにぴったりの一冊
出版社:ほるぷ出版 / 初版発行日:2008年11月
チョコレートでできた「だるま」が繰り広げる、ほっこりバレンタインストーリー。
チョコレートでできた「チョコだるま」が登場する、バレンタインの時期にぴったりの絵本です。真珠まりこさんのかわいらしい絵柄と、ユーモアあふれるお話で、子どもたちに大人気。バレンタインの読み聞かせイベントでもよく選ばれる作品で、チョコレートとだるまという意外な組み合わせが、小さな子どもたちの想像力をかき立てます。
「おさるのジョージ チョコレートこうじょうへいく」|原作:M.レイ H.A.レイ 訳:福本 友美子|おなじみジョージの工場見学
出版社:岩波書店 / 初版発行日:1999年10月
好奇心いっぱいのジョージがチョコレート工場でハプニング!
チョコレート工場にやってきたおさるのジョージ。工場の人たちが何をしているのか知りたくてたまりません。中に入って大好きなバナナ・クリーム入りのチョコレートを見つけたとたん、いつものようにハプニングが起こります。好奇心旺盛なジョージと一緒に、チョコレート工場の楽しさを味わえる人気シリーズの一冊です。
おさるのジョージシリーズは世界中で愛される定番。工場見学の疑似体験もできて知的好奇心を刺激します。
「さとうばあさん チョコじいさん」|作:ジジ・ビゴ 絵:ジョス・ゴファン 訳:石津 ちひろ|甘いお二人のゆかいなお話
出版社:主婦の友社 / 初版発行日:2008年1月
さとうばあさんとチョコじいさんの、甘くてゆかいな日常。
さとうばあさんとチョコじいさんという、なんとも甘い名前のお二人の日常を描いたユーモラスな絵本です。ベルギーの絵本作家ジジ・ビゴとジョス・ゴファンのコンビによる作品で、石津ちひろさんの楽しい翻訳が光ります。
「むぎちょこたんていしゃ」|作:青山 友美|むぎチョコが探偵に!?
出版社:ほるぷ出版 / 初版発行日:2024年7月25日
むぎチョコの探偵が事件を解決! ユニークな探偵絵本。
お菓子の「むぎチョコ」が探偵になって事件を解決する、ユニークな設定の絵本です。青山友美さんの遊び心あふれるイラストとストーリーで、子どもたちの好奇心をくすぐります。
2024年刊行の新しい作品で、謎解きの要素も楽しめるため、お話の先を予想しながら読み進められる参加型の一冊です。
ファンタジー・冒険のチョコレート絵本(7作品)
「こんな世界があったらいいな」を全力で見せてくれる。想像力を広げたい年齢の子どもに。
「チョコレートのまち」|作・絵:深見 春夫|夢いっぱいのファンタジー絵本
出版社:佼成出版社 / 初版発行日:2008年10月
チョコレートでできた街を冒険しよう!
チョコレートでできた不思議な街を舞台に繰り広げられる、夢いっぱいのファンタジー絵本です。深見春夫さんの想像力豊かなイラストで、建物も道も何もかもチョコレートでできた世界が生き生きと描かれています。
「ミライチョコレート」|作:ザ・キャビンカンパニー|未来を覗くチョコレート
出版社:白泉社 / 初版発行日:2024年1月19日
食べると未来が見える!? ワクワクが止まらないチョコレート絵本!
人気絵本ユニット・ザ・キャビンカンパニーが描く、チョコレートをテーマにした想像力豊かな絵本です。「ミライチョコレート」を食べると未来が見える——という夢のある設定で、色鮮やかでダイナミックなイラストとともに、子どもたちをワクワクの世界に連れて行ってくれます。
「チョコレートの妖精」|作:片山 令子 絵:100%ORANGE|おしゃれな絵の妖精ストーリー
出版社:白泉社 / 初版発行日:2007年2月
チョコレートの中から現れた小さな妖精の、やさしいお話。
100%ORANGEのおしゃれなイラストが魅力的な、チョコレートの妖精が登場するファンタジー絵本です。片山令子さんのやさしい文章と相まって、チョコレートの甘い世界観が広がります。
「チョコレートをたべたさかな」|作・絵:みやざき ひろかず|ユニークな発想の物語絵本
出版社:BL出版 / 初版発行日:1989年
チョコレートを食べたさかなに起こる、不思議な出来事とは?
もしも魚がチョコレートを食べたら——? みやざきひろかずさんが描く、ユニークな発想から生まれた物語絵本です。チョコレートを食べたさかなの身に起こる不思議な変化を、温かみのあるイラストで楽しく描いています。
1989年の刊行以来、長く親しまれてきたロングセラー作品で、子どもの「もしも」の想像力を膨らませてくれます。
「チョコレートのじどうしゃ」|作:立原 えりか 絵:太田 大八|夢のチョコレート自動車
出版社:チャイルド本社 / 初版発行日:2007年3月
チョコレートでできた自動車が走り出す、夢いっぱいの物語。
チョコレートでできた自動車という、子どもの夢をそのまま形にしたような物語です。立原えりかさんのファンタジックな文章と、太田大八さんの味わい深いイラストが組み合わさった、温かみのある一冊。チャイルド本社の絵本らしい、手頃な価格も魅力です。
「チョコレートの王さま」|作:マイケル・レーベンサール 絵:ラウラ・カタラン 訳:宮坂 宏美|チョコレートの王国のお話
出版社:あかつき教育図書 / 初版発行日:2024年4月23日
チョコレートの王さまが統べる国で巻き起こる物語。
チョコレートの王さまが治める国を舞台にした、海外翻訳絵本です。マイケル・レーベンサールの物語とラウラ・カタランの色鮮やかなイラストが、チョコレートの国の魅力を余すところなく伝えます。2024年刊行の比較的新しい作品で、チョコレート好きの子どもたちへの贈り物にもぴったりです。
「チョコレートのおみやげ」|著:岡田 淳 絵:植田 真|ファンタジーと日常の交差
出版社:BL出版 / 初版発行日:2021年5月19日
チョコレートのおみやげに隠された、不思議な物語。
児童文学の第一人者・岡田淳さんによる、チョコレートのおみやげを軸に展開するファンタジー作品です。植田真さんの繊細なイラストとともに、日常と不思議が交差する岡田淳さんならではの世界が広がります。絵本と児童書の間に位置する作品で、読書体験の幅を広げたいお子さんにもおすすめです。
心あたたまるチョコレート絵本(7作品)
読み終わったあと、じんわり気持ちがあたたかくなる。やさしさや共感が詰まった絵本です。
「こねこのチョコレート」|作:B・K・ウィルソン 絵:大社 玲子 訳:小林 いづみ|子どもの気持ちに寄り添う名作
出版社:こぐま社 / 初版発行日:2004年11月
「ひとつだけなら…」「もうひとつだけ…」——子どもの『あるある』が詰まった、心あたたまるお話
4歳のジェニーは、弟クリストファーの誕生日プレゼントに「こねこのチョコレート」を買いました。でもその晩、チョコレートが気になってしかたありません。「ひとつだけなら」「もうひとつだけ」と食べてしまう姿は、まさに子どもそのもの。誰もが共感できる「わかっているけどやめられない」気持ちが丁寧に描かれ、最後にはほっと胸があたたかくなる結末が待っています。
「チョコレート屋のねこ」|文:スー・ステイントン 絵:アン・モーティマー 訳:中川 千尋|美しい絵と心温まるストーリー
出版社:ほるぷ出版 / 初版発行日:2013年1月16日
古ぼけたチョコレート屋のねこが考えた、とっておきの計画とは?
古びたチョコレート屋に、気難しいおじいさんとねこが暮らしていました。ある日、ねこがおじいさんの作ったチョコレートねずみをかじってみると、あまりのおいしさにびっくり。「だれかに食べてほしい」と思ったねこが考えた計画とは——? アン・モーティマーの繊細で美しい絵と、心温まるストーリーが見事に調和した絵本です。巻末にはチョコレートの解説も付いています。
「ぎょうれつのできるチョコレートやさん」|作:ふくざわゆみこ|人気「ぎょうれつ」シリーズ
出版社:教育画劇
一粒のチョコレートが広げる、しあわせな気持ちの連鎖。
街でチョコレートのお店をやっているお兄さんから、チョコレートを一箱もらった動物たち。一粒食べたチョコレートのおいしさったら……!「ぼく、お花畑にいるみたいな気分…」「ぼくは、お日様の下でお昼寝しているみたいな気分だぁ」。チョコレートのおいしさを詩的に表現した、ふくざわゆみこさんの人気シリーズです。
「でんせつのチョコレート」|作・絵:みやにし たつや|ティラノサウルスの作者が描くチョコレート
出版社:グリーンキャット / 初版発行日:2022年2月7日
伝説のチョコレートをめぐる、みやにしたつやの心温まる物語。
「おまえうまそうだな」で知られるみやにしたつやさんによるチョコレート絵本。伝説のチョコレートをめぐる冒険と、その奥にある温かいメッセージが描かれています。みやにしたつやさんならではの力強いイラストと、やさしさに満ちたストーリーは、読み聞かせの時間を特別なものにしてくれます。
「ショコラータはかせとしあわせのボンボンショコラ」|作:小山 進 絵:松並良仁|パティシエが手がけた本格チョコレート絵本
出版社:フレーベル館 / 初版発行日:2020年12月25日
しあわせを届けるボンボンショコラの秘密とは?
世界的パティシエ・小山進さんが手がけた、チョコレートへの愛情がたっぷり詰まった絵本です。ショコラータはかせが「しあわせのボンボンショコラ」を作る過程を通じて、ものづくりの喜びと、誰かを幸せにしたいという気持ちが描かれています。松並良仁さんの温かみのあるイラストも魅力的です。
「ねずみくんとチョコレート」|作:なかえ よしを 絵:上野 紀子|大人気「ねずみくんの絵本」シリーズ最新刊
出版社:ポプラ社 / 初版発行日:2025年1月27日
ねずみくんシリーズ第42弾! チョコレートをめぐる楽しいお話。
長年愛され続ける「ねずみくんの絵本」シリーズの第42弾。ねずみくんとチョコレートをめぐる、ほのぼのとしたお話が展開されます。なかえよしをさんと上野紀子さんのおなじみのコンビによる、シンプルながら深みのある物語は、小さな子どもから大人まで幅広い世代に愛されています。
「チョコちゃん」|作:新井 洋行|講談社の幼児えほん
出版社:講談社 / 初版発行日:2025年1月30日
小さなお子さんへの最初のチョコレート絵本に。
新井洋行さんによる、講談社の幼児えほんシリーズの一冊です。チョコレートをモチーフにした「チョコちゃん」が主人公の、赤ちゃんから楽しめるかわいらしい絵本。シンプルな言葉と鮮やかな色彩で、小さなお子さんの興味を引きつけます。ファーストブックやちょっとしたプレゼントにもおすすめです。
物語系チョコレート絵本の選び方|年齢別のポイント
21作品もあると、どこから手をつけるか迷います。年齢を軸にした選び方の目安です。
0〜2歳なら、迷わず『チョコレートパン』か『チョコちゃん』。色と音とテンポだけで成立する本は、この年齢では最強です。
3〜5歳は選択肢が一気に広がります。笑いたい気分なら『チョコレータひめ』か『チョコだるま』。ファンタジーに浸りたいなら『チョコレートのまち』。心に残る一冊を探しているなら『こねこのチョコレート』か『ぎょうれつのできるチョコレートやさん』。この年齢は「読み聞かせのあとにどんな反応がほしいか」で選ぶのが一番確実です。
6歳以上になると、読み応えのある作品が合うようになります。『チョコレート屋のねこ』の余韻、『チョコレートのおみやげ』の不思議な世界、『ミライチョコレート』のダイナミックな展開——。自分で絵をじっくり眺められるようになるこの年齢だからこそ、味わえるものがあります。
▶ 年齢ごとのおすすめをもっと詳しく見たい方は【年齢別チョコレート絵本おすすめガイド】へ
読み聞かせで物語系チョコレート絵本を選ぶコツ
読み聞かせの場面で失敗しないポイントを3つだけ。
言葉の少ない本は、2歳からいける。 『チョコレートパン』のように絵とテンポで勝負する本は、年齢の下限が低い。大人数の読み聞かせにも向いています。
気持ちを描く本は、3歳を待ったほうがいい。 『こねこのチョコレート』のような「わかる」が必要な本は、共感力が育ち始める3歳以降のほうが響きます。早すぎると、この本の一番いいところが伝わらない。
声に出して楽しい本を選ぶ。 読み聞かせは「読む側も楽しいか」が大事です。『チョコレータひめ』や『チョコレート・ウォーズ』は、声に出すと大人もテンションが上がる。読む側が楽しんでいると、子どもはそれを感じ取ります。
バレンタインの読み聞かせに使うなら
物語系のなかでバレンタインの読み聞かせに使いやすいのは、『チョコレートパン』『チョコだるま』『チョコレータひめ』の3作品です。
『チョコレートパン』は年齢を問わず楽しめるので、異年齢が集まる場に強い。『チョコだるま』はバレンタインシーズンにぴったりの設定。『チョコレータひめ』はチョコレートへの愛がテーマど真ん中なので、季節の文脈にぴたりとはまります。
バレンタインに特化した絵本を探している方には、物語系とは別にバレンタイン専門のガイドもあります。
▶ バレンタイン向けの選び方は【バレンタイン×チョコレート絵本ガイド】へ
物語だけじゃない|他のジャンルのチョコレート絵本も
チョコレート絵本には、物語系以外にも魅力的なジャンルがあります。
カカオの旅を追いかける学習・知識系は、「なんで?」が増えた子どもに世界を広げてくれます。読んだあとに手を動かしたくなるレシピ系は、親子の時間をつくるきっかけに。探す・めくる・見つけるさがし絵・しかけ系は、言葉が少なくても満足度が高い。
物語系を楽しんだあとに、こうした別の切り口に出会うと、チョコレート絵本の世界がさらに広がります。
▶ チョコレート絵本の全体ガイドに戻る → 【チョコレート絵本のカタログ】 ▶ 学び・知育のチョコレート絵本 → 【学べるチョコレート絵本】 ▶ つくる体験のチョコレート絵本 → 【作って楽しむチョコレート絵本】
物語の先にある、「自分だけの物語」
チョコレート絵本の物語は、子どもに想像力を渡してくれます。
チョコレートの池に飛び込む想像。チョコレートの街を歩く想像。未来が見えるチョコレートがあるかもしれないという想像。
その想像力が育ったとき、「自分が主人公になる物語」を手にしたら、どうなるか。名前も家族もペットも登場する、世界にたった一冊の絵本。物語を「読む」体験の先に、物語に「入る」体験がある。
たくさんの物語と出会った子どもは、きっと自分の物語も大切にできるはずです。


