- ハロウィン絵本は、年齢によって子どもが見ているところが違います。1〜2歳は色と音、3〜4歳はおばけや魔女の「役」、5歳からは物語の筋です。
- 選ぶ軸は「短く読める」「しかけを楽しめる」「会話がふくらむ」の3つ。年齢で候補を絞ってから、その日の状況で使い分けると外しません。
- こわがったら途中でやめて大丈夫。こわさをゼロにするより、こわさから戻ってくる出口がある絵本を選ぶほうが大事でした。
保育士のとき、10月になるとお母さんたちにこう言っていました。
「ハロウィンの絵本、こわがるお子さんもいるので、まずは短いものから。無理させなくて大丈夫ですよ」
にっこり笑って、ちょっと先輩面で。実際、園ではうまくいっていたんです。おばけのページで数人がぎゅっと目をつぶっても、次のページで笑いが起きて、最後は「トリックオアトリート!」で大盛り上がり。私はそれを見て、「ほら、こわいけど楽しいんですよね」なんて満足していました。
で、自分の娘とハロウィンの絵本を読んだ夜。
娘、当時3歳。暗い森から白いおばけが出てきたページで、無言で本を閉じました。そして布団にもぐって、出てこない。
「こわかったね、もうやめようか」と言えばよかったんです。知識としては知っていました。なのに私が口にしたのは、
「え、大丈夫だよ、このおばけ優しいおばけだから、ほら、次のページ見て?」
いや、無理させないでって言ってた側なんかい。
結局その夜、娘は寝室の電気をつけたまま寝ました。私は隣で、「せっかく選んだのに」というしょうもない気持ちと、「なんで読み進めさせようとしたんだろう」という反省で、しばらく天井を見ていました。
そのあと何年もかけて、園で読んできた本と、家で娘と読んだ本を、いったん同じ棚に並べ直しました。この記事は、そこから残った20冊です。年齢の低い順に並べてあるので、上から見て、いま手が届くところで止まってもらえれば充分です。選び方の話は、そのあとに書きました。
年齢別・ハロウィン絵本20選
同じハロウィンの絵本でも、年齢によって子どもが見ているところはまるで違います。園で0歳児から5歳児まで担当していた頃、それをいちばん実感しました。
| 年齢 | 子どもが楽しんでいるところ | 読み聞かせの目安時間 |
|---|---|---|
| 1歳・2歳 | 色、音、繰り返しのことば。かぼちゃを指さす | 1〜3分 |
| 3歳・4歳 | おばけや魔女の「役」。まほうやへんしんの展開 | 3〜6分 |
| 5歳〜8歳 | 物語の筋、登場人物の気持ち、オチの意外性 | 5〜10分 |
年齢に合わせるというのは、レベルを上げ下げする話ではなくて、その子が今おもしろがっているポイントに合わせる、ということなんだと思います。というわけで、年齢の低い順に20冊。全部を読む必要はまったくありません。
0〜2歳向け:はじめてのハロウィン絵本
1. ハロウィンのかくれんぼ(いしかわこうじ/ポプラ社)
発行年:2016年9月 ISBN:978-4-591-15121-1 対象年齢:0歳・1歳・2歳 ※大型絵本もあり(2019年10月/978-4-591-16399-3/1歳・2歳・3歳)
「かたぬきえほん」シリーズのハロウィン版。形の違う穴が開いたページをめくると、魔女の帽子、月、コウモリ、黒猫、ジャック・オ・ランタンが現れます。英語つき。
強みは、子どもの手が出るところです。こちらがめくる前に自分でめくる。色がはっきりしているので0歳でもじっと見ますし、3歳なら穴の形から考えて答えるので当てっこが成立します。読んだあとに効くのは語彙で、コウモリ、とんがり帽子といった日常では出てこない言葉を得意げに言うようになります。
気になった点。 「やしき」は3歳にはまだ難しい言葉でした。季節ものなので、通年で読める動物バージョンほど食いつかないことも。10月に集中して出すほうが向いています。
2. ハッピー ハロウィン!(新井洋行/講談社)
発行年:2013年9月 ISBN:978-4-06-199115-6 対象年齢:1さいから
トントントン、とドアがノックされます。ガラス越しのシルエットで「だれが来たかな?」と当てっこしながらめくる、低年齢向けのしかけ絵本。最後のページはかぼちゃのお面になっています。
20冊のなかで、いちばん小さい子に手渡せる本です。生後8か月の子に司書さんが選んだ例があるくらい入口が低い。1歳児クラスならすぐ真似して声を出し、2回目には自分から答えます。そして何より、おばけが苦手な時期の子でも泣きません。出てくるのがシルエットで、当てっこが先に立つからです。
気になった点。 最後のお面を子どもが引っぱるので、破れないかヒヤヒヤします。園で繰り返し使うなら覚悟がいります。文章もごく短く、3歳を過ぎると物足りないかもしれません。
3. やさいの おなか(きうち かつ/福音館書店)
発行年:1997年1月 ISBN:978-4-8340-1438-9 対象年齢:読んであげるなら2才から
白黒の断面図を見せて「これ なあに?」と聞きます。めくると、色のついた断面とまるごとの野菜。ネギ、レンコン、ピーマン、そしてかぼちゃ。それだけの本ですが、おはなし会でこれほど手堅い一冊もありません。
子どもは答えたがるので、複数人に読むと先に言ってしまう子が必ず出ます。待ってもらう声かけを用意しておくといいです。おもしろいのは大人のほうで、ネギ、さつまいも、玉ねぎあたりで普通につまずく。そして読んだあと、台所で本物を切って見せることになる。読後に行動が続く、めずらしい本です。
気になった点。 ハロウィンの物語ではありません。かぼちゃが登場するので10月の棚に並びますが、行事の要素はゼロ。ストーリーを期待すると物足りません。
3〜4歳向け:行事のたのしさが伝わるお話
4. トリック オア トリート! ハロウィンのえほん(岡村志満子/くもん出版)
発行年:2016年8月 ISBN:978-4-7743-2519-4 対象年齢:幼児から
仮装した4人の子どもが、家々のドアをたたいて「トリック オア トリート」と声をかけます。出てくる人も、もらえるお菓子も一軒ずつ違う。声を出しながら読める参加型の絵本です。
20冊を選ぶのに育児ブログを横断しましたが、掲載本数がいちばん多かったのがこの本でした。子どもの反応がひとつに集まるのも珍しくて、みんな最後の蓄光ページの話をします。部屋を暗くするとおばけが浮かび上がる。そこから、つけたり消したりが延々と続く。親のほうは、この一冊で「トリック オア トリート」の言い方が身につくのを実感します。
気になった点。 内容はかなりシンプルです。4歳になるとセリフを覚えてしまって出番が減ります。長く読む本というより、その年ごとに引っぱり出す本だと思ってください。
5. やっぱりハロウィン(中川ひろたか 文/村上康成 絵/童心社)
発行年:2023年8月 ISBN:978-4-494-01592-4 対象年齢:3歳〜
今日はハロウィン。園の子どもたちとひろみ先生が仮装して、一軒ずつたずねてまわります。最後に園長先生の部屋へ行くと「そんなのありませんよ」とつれない返事。そこから子どもたちのいたずらが始まります。
20冊のなかで、園の行事としてのハロウィンをそのまま描いた唯一の作品です。子どもが喜ぶのは、いたずらが本当に実行されるところ。合言葉どおりのことが起きるので、期待が裏切られません。大人がぐっとくるのは園長先生で、「ああいうの、すきじゃあありません」と言っていた人が、最後には題名どおりの気持ちになる。現場を知っている人ほどここに反応します。
気になった点。 合言葉のとおり、子どもたちが本当にいたずらを実行します。園長先生が怒らずに受け止めるので後味は悪くありませんが、そこをどう受け取るかは家庭によって分かれそうです。読んだあとに一言添えるかどうか、先に決めておくと落ち着いて読めます。
6. 14ひきのかぼちゃ(いわむらかずお/童心社)
発行年:1997年4月 ISBN:978-4-494-00874-2 対象年齢:3歳〜
おじいさんが差し出した一粒の種から始まります。畑を耕して、種をまいて、芽を守って。嵐の日も見に行って、大きく実ったかぼちゃを家族みんなで収穫する。10月にかぼちゃの話をしたいときの定番です。
いちばん食いつくのは、絵の細かさです。すみに描かれた虫やカエルを見つけては指をさすので、ページがなかなか進まない。読み終わるまでに時間がかかる本だと思っておいてください。そのぶん読んだあとが長い。家庭菜園をしていれば毎日畑を見に行くようになるし、かぼちゃが苦手だった子が料理のページをきっかけに食べてみようとすることもあります。
気になった点。 ハロウィンの本ではありません。行事の説明はいっさい出てこないので、由来を知りたい子には別の一冊が要ります。文章もやや長めで、じっと聞けるようになってからのほうが向いています。
7. おばけパーティ(ジャック・デュケノワ 作/大澤晶 訳/ほるぷ出版)
発行年:1995年6月 ISBN:978-4-593-50330-8 対象年齢:4・5歳から(実際は3歳から楽しめます)
おばけのアンリが友だちを晩さん会に招きます。飲んだもの、食べたものの色に体が染まっていくのがおもしろくて、最後はミルクを飲んで元通り。フランス生まれの、30年読まれ続けている一冊です。
目が輝くのは、壁をすり抜ける場面と、体の色が変わる場面。おばけってこうなんだ、という発見があるようで、まず大笑いします。字が読めなくても絵で分かるので、対象年齢より下の子が自分でめくって楽しめるのも強い。親のほうは、怖かったらどうしようとびくびくしながら開いて、まったく怖くなくて拍子抜けします。
気になった点。 ハロウィンの本ではありません。仮装パーティという点で季節に合うだけで、行事の説明はいっさいないので、ハロウィンを学ばせたい目的では選ばないほうがよさそうです。
8. しろくまきょうだいのハロウィン(serico 絵/たきのみわこ ぶん/白泉社)
発行年:2024年9月 ISBN:978-4-592-76352-9 対象年齢:公式表記なし(3歳ごろ〜) ※シリーズ第5弾
しろくまきょうだいのポールとノエルが、配るクッキー作りと仮装の準備で大忙し。仮装の型紙とかぼちゃクッキーのレシピが巻末についていて、絵本を閉じたあとも遊べます。
20冊のうち、いちばん新しい定番になりそうな一冊です。仮装の絵が何種類も載っているので、どれが好き、ママはこれ、と選び合いが始まります。大人が黙るのは、お兄ちゃんが弟の顔を拭いてあげる場面。そして読んだあとが長い。巻末のレシピは飾りではなく、3歳の子が自分もやると言い出してクッキーを焼くところまで、ちゃんと使われています。
気になった点。 お兄ちゃんが大人びすぎている、という見方があります。弟の世話をして、クッキーも一人で焼き足して、もらう側ではなく配る側に立っている。年上の子が下の子を支える姿をどう読むかは、家庭によって分かれます。
9. おさるのジョージ ハロウィーン・パーティーにいく(M.レイ/H.A.レイ 原作/マーサ・ウェストン 画/福本友美子 訳/岩波書店)
発行年:2003年10月 ISBN:4-00-110946-8 対象年齢:公式表記なし(3歳ごろ〜)
ジョージがはじめて仮装パーティーに招かれ、カウボーイに変身します。早くみんなに見せたくて、いつものように騒動を起こしてしまう一冊です。
キャラクターの力で入口になる本です。絵本のほうは大したことないだろうと思って借りて、子どもが大喜びして驚く——という順番をたどる親御さんが多い。2歳でも、覚えたページを自分でめくって読み上げたりします。もうひとつ効くのが絵の情報量で、りんごを水に浮かべて口だけで取るアップルボビングが描かれている。海外のハロウィンが、説明ではなく絵で分かります。
気になった点。 いつものジョージほど暴れません。シリーズにあるまじき被害の少なさだ、と物足りなく感じる人もいます。裏を返せば、安心して読み聞かせられる巻です。
10. ハロウィンのかぼちゃをかざろう(パトリシア・トート 文/ジャーヴィス 絵/なかがわちひろ 訳/BL出版)
発行年:2020年10月 ISBN:978-4-7764-0972-4 対象年齢:公式表記なし(3歳ごろ〜)
畑にかぼちゃを買いに行き、へたを切って、スプーンで種とわたを取りのぞき、顔を描いてくりぬく。ジャック・オ・ランタンができるまでを、順を追ってていねいに描いた絵本です。
20冊のなかで、読んだあとに手を動かせる本はこれだけでした。工作好きの子は、大人にやってもらいましょうと書かれている工程まで自分でやりたがります。絵本から週末の予定が生まれるタイプ。そして意外なことに、驚くのは大人のほうです。日本ではかぼちゃをくりぬく家庭がまだ多くないので、作る場面そのものを見たことがない。実際に作らなくても、海外ではこうしているのかと分かるだけで楽しめます。
気になった点。 由来の説明はほとんどありません。ハロウィンとは何かを知りたい人には、楽しみ方に寄りすぎています。由来を扱うなら15番の『ハロウィーンって なぁに?』と組み合わせるのがよさそうです。
11. ハロウィン ドキドキ おばけの日!(ますだゆうこ 作/たちもとみちこ 絵/文溪堂)
発行年:2008年9月 ISBN:978-4-89423-609-7 対象年齢:公式表記なし(4歳ごろ〜)
こわがりのレイの家に、こわがりのおばけシェイクが迷い込んできます。ふたりで力を合わせて、いじわるなドラキュラのブルードに立ち向かう物語。巻末にハロウィンの豆知識と、作り方・レシピがついています。
主人公がこわがりなので、おばけが苦手な子ほど自分を重ねます。強くなったふたりが来年を楽しみにしている場面まで来ると、少し勇気をもらったような顔をする。もうひとつ、大人が助かるのは行事の説明が入っていることです。ハロウィンは子どもに説明しにくいので、この本があると伝えやすい。巻末の「くもの巣マッシュポテト」も、小1が家で作りたいと言い出すくらいの引きがあります。
気になった点。 物語というより説明に寄っていて、子どもが物足りなさそうにすることがあります。お話として読むか、行事の解説として読むか。狙いを決めて開いたほうが満足度が上がります。
5歳〜8歳向け:物語を味わえるお話
12. きょうはハロウィン(平山暉彦/福音館書店)
発行年:2016年9月 ISBN:978-4-8340-8283-8 対象年齢:読んであげるなら4才から/自分で読むなら小学低学年から
アメリカに引っ越してきたケンちゃんが、隣の家のピートに誘われて、はじめてハロウィンの夜を歩きます。仮装して、ドアをたたいて、お菓子をもらう。最後に勇気をふりしぼる場面が山場です。
こわがりのケンちゃんに、子どもは自分を重ねます。小1への読み聞かせで、ぼくも同じだと思った、と口に出す子がいるくらい。親のほうが助かるのは、お母さんが紙袋にさっと顔を描いて渡す場面です。仮装は凝らなくていいのだと分かって気が楽になる。そして、街をあげての仮装大会ではなく、近所を一軒ずつたずねる行事なのだと、はじめて腑に落ちます。
気になった点。 舞台はアメリカなのに登場人物の名前が日本人で戸惑う、という声があります。日本から引っ越した家族という設定が伝わるかどうかで読後感が変わるので、読む前に一言添えると入りやすいです。
13. おかしな?ハロウィン(ザ・キャビンカンパニー/ほるぷ出版)
発行年:2017年9月 ISBN:978-4-593-50593-7 対象年齢:4・5歳から
おばけに仮装した子どもたちが、おばあさんの家でお菓子をもらいます。コウモリクッキー、おおかみのふんチョコ。見たこともないお菓子が次々に出てきて、最後にどんでん返しが待っています。
引きつけるのは、まずお菓子の数々。お菓子がいっぱい出てくるから好き、という単純明快な理由で選ばれます。ザ・キャビンカンパニーの絵は20冊のなかでも群を抜いて個性的で、絵で選んだという人が多いのもこの本。そして読み終わったあとに、「あのおばあさんは、もしかして」と会話が続きます。7歳が笑顔のまま絶句するくらいの効き方をすることも。
気になった点。 そのオチがなかなか強烈です。仮面をはずす場面が衝撃的で、小学生からでないと難しいのでは、という受け取られ方もします。怖がりのお子さんには、読む前に一度ご自身で確かめてから。絵を優先しているぶん文字が読みにくいので、大勢の前で読むなら下読みも要ります。
14. かぼちゃスープ(ヘレン・クーパー さく/せなあいこ やく/好学社)
発行年:2024年9月(新版) ISBN:978-4-7690-2293-0 対象年齢:公式表記なし(4歳ごろ〜) ※旧版はアスラン書房・2002年4月
ねこ、りす、あひるの3人が、役割を決めて世界一おいしいかぼちゃスープを作っています。ところがある日、あひるが「今日はぼくがかきまぜる」と言い出して大げんか。あひるは家を飛び出してしまいます。
読み聞かせをした人がそろって挙げるのが、訳のリズムです。歌うように読み進められて、読んでいるうちに自分が上手になった気がする。声に出す楽しさがはっきりある本です。そして大人に刺さるのが、けんかの場面。きょうだいのやり取りとそっくりなので、読んでいる途中で子どものほうが「うちと一緒だね」と照れくさそうにします。
気になった点。 長く品切れだった本で、2024年にようやく新版が出ました。図書館や古書で探すと旧版に当たることがあり、版元も訳の版も違います。どちらを読むかで手ざわりが少し変わります。
15. ハロウィーンって なぁに?(クリステル・デモワノー 作/中島さおり 訳/主婦の友社)
発行年:2006年9月 ISBN:978-4-07-252500-5 対象年齢:公式表記なし(4歳ごろ〜) ※原書はフランス語
ちびっこ魔女のビビが、おばあちゃんに「ハロウィーンってなぁに?」とたずねます。由来の話だけでなく、ジャック・オ・ランタンの作り方、かぼちゃのタルトのレシピ、仮装のしかたまで入った一冊です。
子どもは後半の作り方のページで前のめりになります。おばけや吸血鬼への変身のしかたが載っているので、やってみたいが次々に出てくる。でも実のところ、この本にいちばん助けられているのは親のほうです。毎年この時期になると由来を調べ直してしまう、というのは私も身に覚えがあります。ランタンの起源がかぼちゃではなくカブだった、というあたりで一度は驚くはずです。
気になった点。 文章量があります。3歳には説明が長くて難しく、読む側も少し疲れる。物語のページは4歳ごろから、レシピや衣装のページはもう少し大きくなってから。そう分けて使うのが現実的です。
16. まじょとねこどん ほうきでゆくよ(ジュリア・ドナルドソン ぶん/アクセル・シェフラー え/久山太市 やく/評論社)
発行年:2017年10月(改訂新版) ISBN:978-4-566-08025-6 対象年齢:公式表記なし(4歳ごろ〜) ※初版は2001年11月/原書:Room on the Broom
魔女とねこどんがほうきで飛んでいると、帽子が飛ばされ、リボンが飛ばされ、杖が飛ばされます。拾ってくれた動物が一匹ずつ仲間に加わって、ほうきはとうとう折れてしまう。そこへドラゴンが現れます。
くり返しの構造なので、子どもは先を予想しながら聞きます。次は何が落ちるのか、次は誰が乗るのか。読み終わってすぐ「もう一回」が来る本です。英語圏のハロウィン絵本リストでは常連で、今回参照した3つの推薦リストすべてに入っていました。大人が気に入るのは文章のリズムで、原書が韻を踏んでいるぶん訳にも工夫があり、声に出すと気持ちがいい。
気になった点。 訳語の好みは分かれます。映像版と絵本版で魔法の言葉が違って残念だった、訳が読みにくい、という受け取り方もある。読み聞かせの前に一度目を通しておくと安心です。
17. おおきなかぼちゃ(エリカ・シルバーマン 作/S.D.シンドラー 絵/おびかゆうこ 訳/主婦の友社)
発行年:2011年8月 ISBN:978-4-07-277782-4 対象年齢:公式表記なし(4歳ごろ〜) ※原書:Big Pumpkin(1992年)
魔女が育てたかぼちゃが大きくなりすぎて、抜けません。ゴースト、吸血鬼、ミイラ男が順番に挑戦しますが、びくともしない。最後にやってきたのは、小さなこうもりでした。
読んだ人はほぼ全員「おおきなかぶだ」と気づきます。子どももそこに気づいた瞬間に前のめりになるので、小学校の読み聞かせなら、知っているお話をヒントにしたクイズにしてから読み始めると効きます。大人が笑うのは絵の細部で、魔女がかぼちゃのツルを引きちぎろうとしている。そりゃ動かないよね、と。必死な魔女と、最後にみんなでパイを食べる場面のギャップがいいんです。
気になった点。 小さい子には登場人物が強そうに見えます。3歳児クラスだと、怖がって逃げる子、魔女を倒そうとする子、かぼちゃが食べきれないのではと心配する子と、反応がばらばらに割れます。通年で棚に置くより、時期だけ出すほうが飽きません。
18. 魔女たちのパーティー(ロンゾ・アンダーソン 文/エイドリアン・アダムズ 絵/野口絵美 訳/徳間書店)
発行年:2017年9月 ISBN:978-4-19-864485-7 対象年齢:5歳〜 ※読み聞かせの目安:10分強/原書:THE HALLOWEEN PARTY
仮装パーティーへ向かう途中、ジャックは夜空を横切る魔女を見つけて追いかけます。たどり着いた森では、魔女や子鬼、人食い鬼がパーティーの準備をしていました。こっそりのぞいていたジャックは、見つかってしまいます。
ハラハラしながら聞く本です。食べられそうになる場面があるのでゾクゾクする楽しさが前面に出ますが、子鬼がかくれんぼをしていたり、人食い鬼がおっちょこちょいだったりで、怖いだけでは終わりません。そして大人は、ほぼ全員が絵の話をします。満月を横切る魔女、暗い森に浮かぶランタンの光。絵について語り始めると感想が長くなる、というのがこの本のいちばんはっきりした傾向でした。
気になった点。 読み聞かせで10分強と、20冊のなかでは長い部類です。食べられそうになる描写もあるので、公式の5歳よりもう少し上から、という見方が複数ありました。じっと聞ける子でないと途中で集中が切れそうです。
19. まほうつかいのノナばあさん(トミー・デ・パオラ 作/ゆあさふみえ 訳/ほるぷ出版)
発行年:2025年11月(新版) ISBN:978-4-593-10580-9 対象年齢:公式表記なし ※旧版は1978年2月・ISBN 978-4-593-50064-2・4・5歳から
イタリアの町に住む魔法使い、ノナばあさん。スパゲッティが出てくる魔法のかまを持っています。手伝いのアンソニイがおまじないを盗み見たことから、町じゅうがスパゲッティであふれる大騒動になります。
盛り上がるのは、スパゲッティが止まらなくなるところ。あふれて、道にこぼれて、町を埋めていく。この場面は反応が割れて、怖がる子もいれば大笑いする子もいます。大人が気に入るのは結末のお仕置きのほうで、グリムの「おいしいおかゆ」を思い出す人が多いのですが、この本のほうが罰が重くない。あふれたスパゲッティをひとりで食べさせる、というさじ加減が気が利いています。
気になった点。 読み聞かせには少し長めです。おまじないが歌になっているので、集団に読むなら節をどうするか決めておく必要があります。読みどきは年長さんから低学年あたりで、4歳では難しいことも。
20. パンプキン・ムーンシャイン(ターシャ・テューダー 文絵/食野雅子 訳/河出書房新社)
発行年:2024年9月 ISBN:978-4-309-25766-2 対象年齢:公式表記なし ※ターシャ・テューダーのデビュー作(原書1938年)の新訳
シルビーアンが、ハロウィンのおばけかぼちゃを作ろうと、畑でいちばん大きなかぼちゃを選びます。ところが重すぎて運べません。転がしていくうちに、坂を勝手に走り出して大騒ぎになります。
子どもにとっては、かぼちゃが転がるところが事件です。小さな女の子の身に起きる、身の丈に合った大騒動。ただこの本を選ぶ理由は、たぶん絵のほうにあります。1938年のコネティカットの田舎が舞台で、賑やかなハロウィン絵本が並ぶなかで、この一冊だけ手ざわりが違う。静かなんです。にぎやかな本ばかりのなかに、こういう本が1冊あるといい、という選ばれ方をしています。
気になった点。 判型が小さく、大勢への読み聞かせには向きません。おうちで膝にのせて読む本です。行事の由来や遊び方の説明もないので、ハロウィンを知るための一冊としては物足りないかもしれません。

ハロウィン絵本が親子の読み聞かせで人気を集める理由
かぼちゃ・おばけ・魔女——子どもがドキドキする定番テーマ
ハロウィンの絵本には、だいたい同じ顔ぶれが出てきます。オレンジのかぼちゃ、ふわふわの白いおばけ、とんがり帽子の魔女、マントのドラキュラ、それから黒猫とこうもり。
この「顔ぶれが決まっている」ことが、実は小さい子にとってはすごくありがたいんです。保育士のときに乳児クラス(0〜2歳のクラスのことです)で感じていたのは、子どもは初めてのものより「知ってるものが出てきた」ときのほうが、圧倒的に食いつくということ。カボチャをくりぬいたジャック・オ・ランタンの顔なんて、まさにそれです。一度覚えると、街のポスターでも、スーパーのお菓子売り場でも見つけて「あー!」と指をさす。
日本では、ハロウィンは秋の行事としてすっかり定着しましたよね。私が子どもの頃には、ここまでハロウィンハロウィンとは言っていませんでした。だから今の子どもたちは、絵本の世界と街の景色がつながる季節を持っている。ちょっとうらやましいな、と本気で思っています。
こわいけど楽しい、その揺れが物語体験になる
ハロウィンの絵本が他の季節の絵本と違うのは、「ちょっとこわい」が最初から仕込まれているところです。
保育士のとき、私は研修でこう習いました。おばけや妖怪が出てくるお話は、子どもが安全な場所から「こわい」を経験できる装置なんだ、と。抱っこされている、隣にお母さんがいる、部屋は明るい。その安心のなかで、ページの向こうのこわいものと出会う。だからこそ、こわがって、そのあと笑える。
実際、娘とやり直したときに、それを目の前で見ました。あの夜から2週間後、明るいリビングで、私の膝の上で、同じ本をもう一度読んだんです。おばけのページで娘は私の腕をぎゅっと握って、「こわい」と言いました。でも、次のページに進んでいいかと聞いたら、こくんとうなずいた。そして最後まで読んだあと、こう言いました。
「もういっかい」
いや、さっきこわいって言ってたやん。
でもこれが、こわいけど楽しい、の正体なんだと思います。こわさをくぐって、無事に戻ってきた。その達成感みたいなものが、子どもにとっては相当うれしいらしい。大事なのは、こわさをゼロにすることではなくて、こわさから戻ってくる出口が用意されている絵本を選ぶことでした。

来年また選ぶための、20の軸
ここからは書名ではなく、「どういうタイプの絵本を選ぶか」を20個の軸に分けます。上の20冊が今年の答えだとしたら、こっちは来年の答えを自分で出すための道具です。書店や図書館で背表紙を眺めるとき、この軸が頭にあると、ぐっと選びやすくなります。
1歳・2歳向け:短く読めて、リズムで笑える作品
2歳向けのハロウィン絵本を探しているなら、まず見るのはページ数と、1ページあたりの文字量です。文章が3〜4行入っている時点で、この年齢だと最後までもたないことが多いんです。
- オノマトペ型/「ばあ」「ぱっ」「ぴょーん」など音のことばが主役。意味がわからなくても声で笑う
- くりかえし型/同じフレーズが何度も出てくる。3回目には子どもが一緒に言い出す
- 指さし型/1ページに大きなかぼちゃやおばけが1つ。「これなに?」の会話が成立する
- 厚紙・ボードブック型/噛んでも破れない。1歳のうちはこれが実用的にありがたい
- コントラスト重視のイラスト/黒とオレンジのはっきりした配色。Sassyのようなはっきりした色使いの絵本に反応がいい子は、この系統が合いやすい
- ポケットサイズ型/小さめのポケットえほんは、外出先や病院の待ち時間の相棒になる
保育士のとき、1歳児クラスで読んでいたハロウィンの絵本は、正味40秒くらいで終わるものでした。それを3回続けて読む。子どもは同じものを繰り返してもらうのが好きなので、これでちゃんと満足します。長い1冊より、短い1冊を3回。ただし、寝る前に3回読む体力が親に残っているかは別の話で、うちは1回目で「終わり!」と閉じて泣かれた夜が何度もあります。
3歳・4歳向け:ばけものやまほうにワクワクするお話
3歳を過ぎると、「役」がわかるようになります。おばけはおどかす人、魔女はまほうを使う人、というふうに。ここからハロウィンの絵本は一気に楽しくなります。
- へんしん型/かぼちゃがランタンに、子どもがおばけに。変わる瞬間のページで歓声が上がる
- まほう型/魔女が呪文を唱える。この呪文を覚えて一日中言い続けるのが4歳です
- やさしいおばけ型/こわがりな子の入口。おばけが友だちになるタイプの物語
- ちょっとこわい型/せなけいこさんの絵本のように、白いおばけがきちんとこわい系統。こわさに耐性のある子はこっちを好む
- おかしのやりとり型/トリック・オア・トリートのことばの意味が、お話の中で自然にわかる
- シリーズもの/既に好きなキャラクターのハロウィン版があるなら、それが最短ルート。知っている子が知らない行事に出会う、という構造が安心を生む
- 日本のおばけ・妖怪ミックス型/海外のドラキュラと、日本のおばけが一緒に出てくる。文化の違いに気づきはじめる年齢に響く
「うちの子、おばけが苦手で」という場合は、9と12から入るのが安全でした。とくにシリーズものは、キャラクターへの信頼があるぶん、こわさのハードルが下がります。
5歳〜8歳向け:児童書へ橋渡しできるストーリー性のある作品
5歳を過ぎると、絵よりも話の筋を追いはじめます。ここは児童文学への入口でもある時期。
- オチのある短編型/最後の1ページでひっくり返る。読み終わって「え!」と言われたら勝ちです
- ちょっと長めの物語型/1回で読み切らず、2晩に分けて読む。続きが気になる感覚を覚える
- 由来にふれる型/ハロウィーンがどこから来た行事なのか、世界の秋のお祭りに触れる内容。知りたがりの6歳に刺さる
- 英語まじり型/トリックオアトリートなど、英語のフレーズが自然に入っている。声に出すのが楽しい
ここに、シーン別の3タイプを加えて20になります。18が「3分で読める短編」、19が「しかけ絵本」、20が「読んだあとに会話がふくらむ本」。この3つは年齢をまたいで使えるので、次の章でじっくり書きます。

シーン別で広がるハロウィン絵本の楽しみ方
年齢だけで選ぶと、意外と外します。同じ4歳でも、寝る前と休日の昼間では、機嫌もテンションもまるで違うからです。私はそれを、園では当たり前にやっていたのに、家では完全に忘れていました。
寝る前に短く読める:3分で終わるハッピーハロウィンのお話
18番目の軸が、これです。寝る前用のハロウィン絵本は、「終わり方が静か」であることがすべてでした。
盛り上がるお話は昼間に取っておく。夜に読むなら、最後がハッピーハロウィンのあいさつや、おやすみの場面で閉じるものがいい。おばけが暴れて終わるタイプを21時に読むと、その後30分は寝ません。これは我が家で3回検証済みです。3回もやった私が悪い。
目安としては、見開き10ページ以内、1ページ2行まで。声に出して3分で終わる長さです。それでも「もう一回」と言われるので、結局6分。そこまで見込んでおくと、こちらの心が荒れません。
しかけを楽しめる:めくる・のぞく・さがすえほん
19番目は、しかけ絵本です。ハロウィンのしかけ絵本は種類が豊富で、私の体感では、子どもの反応の差がいちばんはっきり出るジャンルでもあります。
| しかけの種類 | 向いている年齢の目安 | 読み聞かせでのコツ |
|---|---|---|
| フラップ(めくる) | 1歳半〜 | 親がめくらない。子どもの手にゆだねる |
| 穴あき・のぞき | 2歳〜 | 「なにが見える?」と一度止まる |
| さがしもの型 | 3歳〜 | 先に見つけても言わない。これが親には難しい |
| ボタンを押す参加型 | 2歳前後〜 | ページの指示に本気で従うほど盛り上がる |
| 飛び出す(ポップアップ) | 4歳〜 | 破れやすいので、めくる手を添える |
「絶対に押しちゃダメって何歳から?」という質問をよく見かけますが、ボタンを押す参加型の絵本は、指さしができて、大人の言うことをおもしろがれるようになった頃、我が家では2歳前後がいちばん盛り上がりました。ただ、こういう参加型は「ちゃんとやらせよう」とした瞬間につまらなくなります。子どもがルールを無視して10回連続で押しても、それはそれで正解の遊び方です。
しかけ絵本の注意点も正直に書いておくと、破れます。ぜったい破れる。ハロウィンのしかけ絵本を1歳の子に渡すなら、修理用のテープを常備しておくくらいの覚悟でいたほうが、あとが穏やかです。
会話がふくらむ:読んだあとに「どのおばけが好き?」と聞ける本
20番目。これが、我が家でいちばん化けた視点でした。
登場するおばけが複数いる絵本、仮装がたくさん描かれている絵本、街の様子が細かく描かれている絵本。こういう本は、読み終わったあとに会話が残ります。
ある日、娘に「どのおばけがいちばん好き?」と聞いたら、こう返ってきました。
「うしろにいる、ちいさいおばけ。だってさびしそうだから」
私はその小さいおばけの存在に気づいてもいませんでした。3回は読んでいたのに。子どもは、大人が読んでいる文章ではなく、絵のすみっこを見ている。保育士のときに「絵をゆっくり見せてあげてください」とお母さんたちに言っていた意味を、あのとき初めて自分の腹で理解しました。
問いかけは「どれが好き?」「どれになりたい?」の2つで充分です。「なんでそう思ったの?」まで踏み込むと、テストみたいになって黙ります。これも、うちで実験済みです。

こわがりな子どもと読むときの声かけとページの進め方
泣いてしまったら途中でやめていい、という選択肢
冒頭に書いた、娘が布団にもぐった夜。あのとき私がしくじったのは、「せっかく選んだ絵本を最後まで読ませたい」という、完全に自分都合の気持ちを優先したことでした。
保育士のときの私は、こう言っていました。
「こわがったら、そこで閉じて大丈夫ですよ。無理して最後まで読む必要はありません」
言ってました。ちゃんと言ってました。それでも自分の子相手だと、なぜかできない。園では、こわがる子がいたら即座に本を閉じて膝に抱っこできたのに、家では「あと2ページで優しいおばけになるのに」と粘ってしまう。プロとして冷静に判断するのと、わが子に「楽しんでほしい」と願いながら読むのは、まったく別の競技でした。
途中でやめた絵本は、しばらく本棚に戻しておけばいいだけです。1週間後、1か月後、来年のハロウィンに、その子のほうから持ってくることがあります。娘は2週間後に持ってきました。子どものタイミングは、こちらの計画とは無関係に動きます。
読み聞かせで避けたいこと(急かす・こわがらせすぎる)
「読み聞かせでタブーなのは?」とよく聞かれます。これも、保育士のときに研修で習ったことと、自分でやらかしたことが、きれいに重なるところです。
| 避けたいこと | 子ども側で起きること | かわりにできること |
|---|---|---|
| ページを急いでめくる | 絵を見る時間がなくなる | 子どもの視線が動くのを待つ |
| こわがらせすぎる演出 | 本そのものが苦手になる | 声の大きさは半分でも伝わる |
| 読みながら質問攻めにする | 物語に入れない | 質問は読み終わったあとに1つ |
| 「こわくないよ」と否定する | 感じたことを言えなくなる | 「こわかったね」で受け止める |
| 覚えているか確認する | 読書がテストになる | 感想が出るまで黙って待つ |
いちばん厄介なのが、4つめの「こわくないよ」です。私が娘に言ったのが、まさにこれでした。本人はこわいと感じているのに、こわくないと言われる。あれは、感覚を否定されるということなんですよね。あの夜以来、娘がこわいと言ったら、まず「こわかったね」と返すようにしています。それだけで、次のページに進める日と、進めない日がはっきり分かれるようになりました。
それと、おどかす読み方。園では効果的だったんです、これが。「でたぞぉー」って低い声を出すと、3歳児が全員でキャーッと笑う。でも家の寝室で、しかも一対一でやると、笑いにならない。集団の中の「こわい」と、ひとりで受け止める「こわい」は、まるで別物でした。家で読むときの演出は、園でやるときの半分でちょうどいい、というのが今の私の結論です。
ハロウィーン当日を待つ数日間の読み方プラン
ハロウィン絵本のいいところは、当日までの「待つ時間」を作れることです。我が家でやってみて、いちばんしっくりきた流れを置いておきます。
- 1週間前/かぼちゃやおばけが出てくる短い絵本を1冊。行事の存在を知る
- 5日前/しかけ絵本を昼間に。ここでテンションを上げておく
- 3日前/仮装がたくさん出てくる絵本。「なにになりたい?」の会話をする
- 前日/おかしのやりとりが出てくるお話。トリック・オア・トリートの練習になる
- 当日の夜/静かに終わるお話を1冊。興奮した日ほど、終わり方は穏やかに
全部やらなくても大丈夫です。私も、3日前と前日しかできなかった年があります。それでも娘は当日、玄関で「トリックオアトリート」と言えました。準備の量と、子どもの楽しさは、たぶん比例していません。

読み聞かせの時間そのものをイベントにするひと工夫
絵本から広げる仮装・かぼちゃ飾り・おかしのやりとり
絵本を読んだあと、その世界を少しだけ現実に引っぱり出すと、子どもの反応が変わります。難しいことはしていません。
たとえば、絵本に出てきた魔女の帽子を黒い画用紙で作る。かぼちゃの絵を1枚描いて窓に貼る。お菓子をひとつだけ用意して、絵本と同じセリフを言えたら渡す。所要時間、10分から15分くらいです。
我が家では、娘が絵本の中の小さいおばけを気に入ったので、白い紙を丸く切って目を描き、リビングの壁に貼りました。それだけです。それだけなのに、娘は毎晩そのおばけに「おやすみ」と言ってから寝るようになりました。工作の完成度は、まったく関係なかったです。
知り合いの町内には、ハロウィンの日に子どもたちが家々を回る、独自のお祭りみたいなものがあるそうです。夜には、小さな公園をキャンドルで飾る。ものすごく大きな公園ではないけれど、灯りが並ぶとそれはきれいで、優しい気持ちになるんだとか。子どもたちは毎年それを楽しみにしていて、飾りつけを通じて近所の人の顔もお互いにわかるようになる。準備もそんなに大変ではないというのが、また現実的でいいなと思いました。新しい住宅地だからできることもあるんでしょうけど、正直、憧れます。
絵本の中のハロウィーンと、住んでいる町のハロウィーンがつながる。それができる子は、しあわせだなと思います。うちの近所にはそういう行事がないので、せめて絵本と、壁の小さいおばけで代用しています。
園や先生から届く情報も参考に、家庭の一冊を選ぶ
これは、立場が入れ替わって初めてわかったことなんですが、園だよりやクラス便りに載っている絵本の情報は、かなり実用的です。
で、自分が保護者になって、園から届いた紙を見て、はっとしました。先生が選んだ絵本は、その年齢の子が実際に食いついた実績のある一冊なんです。理屈ではなく、目の前で20人が反応した結果。これ以上に信頼できる情報って、なかなかない気がします。
絵本ナビのようなレビューサイトや、クレヨンハウスのような絵本専門店の季節コーナーも、選ぶときの参考になります。ただ、そこで迷ったら、園で読まれていた本を先に借りるのが早いです。子どもは「知ってる!」と言った瞬間から、聞く姿勢が変わりますから。
図書館のハロウィンコーナーは、だいたい10月上旬に空っぽになります。狙うなら9月末。これは司書さんに教えてもらった、地味に効く情報です。
年齢別×3視点で、わが家に合うハロウィン絵本を選ぶまとめ
ここまで20の軸を書いてきましたが、結局のところ、選び方はこうまとめられます。
| 視点 | 見るポイント | 合う場面 |
|---|---|---|
| 短く読める | 3分以内・終わり方が静か | 寝る前、疲れている日 |
| しかけを楽しめる | めくる・のぞく・押す | 休日の昼間、きょうだいと |
| 会話がふくらむ | 登場人物が多い・絵が細かい | 当日までの数日間 |
年齢の軸で候補を絞って、その日の状況で3視点のどれかを選ぶ。これだけで、「せっかく借りたのに読まなかった」がかなり減りました。
最後に、少しだけ本音を書かせてください。
保育士のとき、私は「絵本の時間を大事にしてくださいね」と、お母さんたちに何度も言ってきました。愛着形成(要は、この人といれば安心だと子どもが感じる土台のことです)にとって、膝の上で本を読む時間は大きいですよ、と。研修で習ったことを、そのまま自信満々に。
今、自分が娘と絵本を読む立場になって思うのは、あの時間は確かに大きい、ということ。それと同時に、その時間を毎晩ちゃんと確保することが、どれだけ難しいかということです。ごはんを食べさせて、お風呂に入れて、洗い物をして、その先に絵本。無理な日は、ふつうにあります。
あの頃、「毎日1冊、読んであげてくださいね」と軽く言っていた自分に、今、深く頭を下げたいです。毎日は、しんどいです。あなたたちは、ちゃんとがんばっていました。私はそれを、わかったふりをしていただけでした。
だから今、同じ場所にいるかもしれないあなたに、何かを教えるなんておこがましいことはしません。ハロウィンの絵本を1冊も読まない年があっても、子どもはちゃんと大きくなります。読めた日があったら、それはボーナスみたいなものです。
お互い、ぼちぼちやりましょう。
ちなみに今年、娘が「なりたい」と言ったのは魔女でも、おばけでもなく、絵本のすみっこにいた黒猫でした。しっぽだけ作りました。今夜の私の合格点は、それでじゅうぶんです。

よくある質問
- ハロウィンの絵本は何歳から読めますか?
-
0歳から楽しめます。ただし年齢によって子どもが見ているところは違っていて、1〜2歳は色と音と繰り返しのことば、3〜4歳はおばけや魔女の「役」、5歳からは物語の筋やオチの意外性です。読み聞かせの目安時間も1〜3分、3〜6分、5〜10分と変わります。レベルを上げ下げするというより、その子がいまおもしろがっているポイントに合わせて選ぶと外しません。
- 子どもがこわがったら、最後まで読ませたほうがいいですか?
-
途中でやめて大丈夫です。「こわくないよ」と否定すると、感じたことを言えなくなってしまうので、まずは「こわかったね」と受け止めてあげてください。閉じた絵本はしばらく本棚に戻しておけば、1週間後、1か月後、来年のハロウィンに、子どものほうから持ってくることがあります。
- 寝る前に読むなら、どんなハロウィン絵本がいいですか?
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終わり方が静かなものを選んでください。おばけが暴れて終わるタイプを夜に読むと、そのあとしばらく寝つきません。目安は見開き10ページ以内、1ページ2行まで、声に出して3分ほどの長さです。盛り上がるお話は昼間に取っておくと、夜の時間が穏やかになります。
- ハロウィンの由来を子どもに説明できる絵本はありますか?
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『ハロウィーンって なぁに?』が、由来からジャック・オ・ランタンの作り方、かぼちゃのタルトのレシピ、仮装のしかたまで扱っています。物語として読ませたいなら、巻末に豆知識がついた『ハロウィン ドキドキ おばけの日!』も使えます。ランタンの起源がかぼちゃではなくカブだったことなど、大人のほうが驚く内容も入っています。
- 20冊、全部そろえたほうがいいですか?
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その必要はありません。年齢で候補を絞ってから、その日の状況に合わせて「短く読める」「しかけを楽しめる」「会話がふくらむ」のどれかを選ぶ。この2段階だけで、せっかく借りたのに読まなかった、がかなり減ります。いま手が届くところから1冊で充分です。





