「おばけの絵本を読みたい!」
子どもからそんなリクエストが来たとき、あなたはどんな一冊を選びますか?
本屋さんや図書館に並ぶこのジャンルの絵本は、驚くほど種類が豊富です。せなけいこさんの定番シリーズから、tupera tuperaさんの愛嬌たっぷりなキャラクターまで。でも、いざ選ぼうとすると「うちの子には怖すぎないかな」「この年齢で楽しめる?」と迷ってしまうものです。
実は、おばけ絵本には大きく3つのタイプがあります。怖くないかわいいおばけ、思わず笑っちゃうユーモアおばけ、そして心がじんわり温まるおばけ物語。お子さんの年齢や性格に合わせて選べば、「怖い」が「楽しい」に変わる瞬間に出会えます。
この記事では、0歳から小学生まで、年齢別に楽しめるおばけ絵本のおすすめの20選+αをご紹介します。怖がりさんでも安心して読める作品から、ちょっぴりドキドキを楽しみたい子向けの一冊まで。さらに、読み聞かせのコツや、おばけ絵本を通じて広がる親子の会話のヒントもお伝えしますね。
さあ、不思議で楽しいおばけの世界への扉を開いてみましょう。
おばけえほんデビューはいつから?年齢別の楽しみ方と選び方のポイント
「おばけの絵本、何歳から楽しめるの?」これは多くの親御さんが抱く疑問です。
結論から言うと、0歳からでも楽しめます。ただし、年齢によって「楽しみ方」がまったく違うんです。
0〜2歳:かわいいおばけの顔と優しい話で親しむ時期
この時期の子どもたちは、まだ「おばけ=怖いもの」という概念を持っていません。だからこそ、おばけとの出会い方が大切なんです。
選ぶポイントは3つあります。
- 丸くて大きな目、にっこり笑った口など、シンプルでかわいい顔のおばけ
- ページ数が少なく、テンポよく読める構成
- 「ばあ!」「にょろにょろ〜」など、音の響きが楽しい言葉
赤ちゃん向けのおばけ絵本では、おばけが「いないいないばあ」のような遊び相手として登場することが多いです。怖がらせる要素はゼロ。むしろ、おばけの動きや表情を見て、声を出して笑う子も少なくありません。
この時期に大切なのは、親御さんの声と表情です。絵本のおばけを指さしながら「おばけさん、こんにちは〜」と明るく声をかける。それだけで、おばけは「怖いもの」ではなく「絵本の中の楽しい友だち」になります。
3〜4歳:笑えるおばけの日常で「こわくない」体験を
3歳を過ぎると、子どもの想像力がぐんと広がります。同時に、「暗いところがこわい」「一人でトイレに行けない」など、恐怖心も芽生え始める時期です。
だからといって、おばけ絵本を避ける必要はありません。むしろ、この時期こそユーモアたっぷりのおばけ絵本がおすすめです。
たとえば、おばけがてんぷらを揚げたり、アイスを食べたり。日常の中にポンとおばけが現れて、ドタバタ劇を繰り広げる。そんな展開を見ていると、子どもは自然と「おばけって、なんだかおもしろい」と感じるようになります。
選び方のポイントはこちらです。
- おばけが主人公で、人間と仲良くなる話
- 失敗したりドジを踏んだりする「親しみやすいおばけ」
- 繰り返しのリズムがあり、一緒に声を出せる構成
「おばけだって、ごはんを食べるんだね」「おばけも友だちがほしいのかな」。絵本を通じて、そんな会話が生まれたら大成功です。
5歳以上:ドキドキとほっこりが共存する物語の世界へ
5歳以上になると、少し長めのストーリーも楽しめるようになります。おばけ絵本も、単なる「見て笑う」から「物語を味わう」へとステップアップ。
この年齢の子どもたちは、「ちょっと怖いけど気になる」という複雑な感情を楽しめるようになっています。真っ暗な森の中、おばけが現れて…でも最後は温かい結末。そんな「ドキドキ」と「ほっこり」が共存する物語に、夢中になる子も多いです。
また、「おばけってどこに住んでいるの?」「日本のおばけと外国のおばけは違うの?」など、知的好奇心も広がる時期。おばけの種類や文化的背景を扱った絵本も、この年齢ならしっかり楽しめます。
選び方のポイントは以下の通りです。
- 起承転結のあるストーリー展開
- おばけの気持ちや背景が描かれている
- 読み終わった後に「よかったね」と言える結末
怖がりな子でも、信頼できる大人と一緒に読めば大丈夫。「怖くなったら言ってね」と声をかけながら、少しずつ冒険の幅を広げていきましょう。
なお、この記事では各作品に、怖さの度合いがひと目でわかる「怖さレベル」を★の数で添えています。目安は次の通りです。
怖さレベルの目安
| レベル | 意味 |
|---|---|
| ★1 | ぜんぜん怖くない。0歳からOK |
| ★2 | 一瞬ドキッ、オチで笑いに変わる |
| ★3 | プチ怖。怖がる子もいるが「もう一回」が続く |
| ★4 | けっこう怖い。読みどきを選ぶ |
| ★5 | 本気で怖い。年長〜小学生から |

怖がりな子も安心!かわいいおばけ絵本〈0〜3歳向け〉
「おばけ」と聞くと、大人はつい怖いイメージを持ちがち。でも、小さな子ども向けのおばけ絵本は、びっくりするほどかわいいんです。
ここでは、怖がりさんでも安心して楽しめる、0〜3歳向けのおばけ絵本をご紹介します。
1. おばけなんてないさ(せなけいこ 絵/ポプラ社)|0歳〜
発行年:2009年7月 ISBN:978-4-591-11048-5 対象年齢:0・1・2歳 怖さレベル:★1〜2
おなじみの童謡が、5番までの歌詞と楽譜つきで一冊に。歌いながらめくるうち、怖かったはずのおばけがだんだん可愛く見えてきます。読み終えて「おばけ怖い?」と聞くと「こわくなーい!」と返ってくる──そんな魔法のような瞬間を、この本は何度も何度も作ってくれます。保育園では、両手を垂らしておばけになりきって歌うのが定番の遊び方。
2. ばけばけばけばけ ばけたくん(岩田明子/大日本図書)|1歳半ごろ〜
発行年:2009年2月 ISBN:978-4-477-01988-8 対象年齢:公式表記なし(1歳半〜3歳が目安) 怖さレベル:★1
食べたものに変身する食いしんぼうおばけ。キャンディー、いちご、メロンソーダ、そして納豆。真っ黒な画面に浮かぶ変身の鮮やかさは、小さい子の目にまっすぐ届きます。「ファーストおばけ絵本」を一冊だけ選ぶなら、私はこれです。2歳の「もう一回!」が止まらなくなっても、責任は取れませんが。
3. ねないこだれだ(せなけいこ/福音館書店)|1歳から
発行年:1969年11月 ISBN:978-4-8340-0218-8 対象年齢:読んであげるなら1才から 怖さレベル:★3(プチ怖)
私は甥っ子が泊まりに来るたびに『ねないこだれだ』を、声色や動きを変えながら読んでいます。時計の音は低い声で、おばけが出たら絵本の後ろから顔を出して、最後は子どもを抱き上げて「とんでいけー!」と。すると怖がるどころか大喜びで、何度も「もう一回」とせがまれます。
寝かしつけには逆効果ですが、大人と子どもが一緒に楽しむ時間として最高でした。怖いけれど安心できる膝の上だから、子どもは小さな肝試しを楽しんでいるようです。
夜ふかしの子はおばけの世界へ。1969年から続く、はじめての「怖い」の定番です。初めて読んだ日にページを見つめたまま固まって、それでも図書館で見かけると必ず抱えてくる──この矛盾こそが、子どもが怖さと付き合いはじめた証拠だと私は思っています。救いのある結末ではないので、敏感な子には昼間に。
4. おばけのバーバパパ(チゾン&テイラー/山下明生 訳/偕成社)|3歳から
発行年:1972年6月 ISBN:978-4-03-202130-1 対象年齢:3歳から 怖さレベル:★1
バーバパパが庭の土から生まれたことを、大人になった私たちはたいてい忘れています。大きすぎて居場所がなかったおばけが、形を変える力で受け入れられていく物語。半世紀前の絵本が今も「はじめてのおばけ」でいられるのは、怖さの代わりに「認められたい」という気持ちが真ん中にあるからだと思います。
5. おばけずし(苅田澄子 作/柴田ケイコ 絵/金の星社)|幼児から
発行年:2024年12月 ISBN:978-4-323-07526-6 対象年齢:幼児から 怖さレベル:★1
2024年生まれの、いちばん新しいおばけ。お客のいないお寿司屋さんに、おばけのお客がやってきます。『パンどろぼう』の柴田ケイコさんの絵は、表紙を見せた瞬間に子どもの体がこちらへ傾く強さ。見返しの「おばけ寿司ネタ一覧」まで、隅々に遊びが仕込まれています。
6. おばけパーティ(ジャック・デュケノワ/ほるぷ出版)|4・5歳から(公式)、実際は2歳台から
発行年:1995年 ISBN:978-4-593-50330-8 対象年齢:4・5歳から 怖さレベル:★1
お城の晩さん会で、おばけたちが食べたものの色に染まっていく。世界17カ国で読まれるフランスの名作です。字が読めない子がひとりでめくって楽しめる、絵の力の強い一冊。「おばけが怖い」と言い出した子に、怖くないおばけを見せてあげたいときの特効薬候補です。
7. めがねうさぎ(せなけいこ/ポプラ社)|3歳
発行年:1975年2月 ISBN:978-4-591-00469-2 対象年齢:3歳 怖さレベル:★1〜2
脅かしたいおばけと、めがねがなくておばけが見えないうさこ。怖がらせる側が空回りする逆転劇です。『ねないこだれだ』で怖くなってしまった子の気持ちをほぐす一冊として、現場で長く頼りにされてきました。おばけと一緒にめがねを探しはじめる1歳児の姿は、何度見てもいいものです。

笑って楽しむおばけえほん〈3〜5歳向け〉
3〜5歳は、おばけ絵本の黄金期。想像力が豊かになり、ユーモアも理解できるようになるこの時期、笑えるおばけ絵本がぴったりです。
8. おばけのてんぷら(せなけいこ/ポプラ社)|3・4・5歳
発行年:1976年11月 ISBN:978-4-591-00489-0 対象年齢:3・4・5歳 怖さレベル:★1〜2(ドキドキ→笑い)
てんぷらの匂いに誘われて、うさこの台所に忍び込んだおばけの運命は──。3歳の子が文章をまるごと覚えて「自分で読む」ようになる本です。めがねを揚げてしまう場面の笑いは、50年たっても現役。怖い要素はほぼゼロなので、怖がりの子の「おばけ2冊目」にどうぞ。
9. おばけだじょ(tupera tupera/Gakken)|3・4・5歳
発行年:2015年7月 ISBN:978-4-05-204260-7 対象年齢:3・4・5歳 怖さレベル:★2(ドキドキ→笑い)
「おばけだじょ」と黒いものが迫ってきて──正体がわかった瞬間、部屋の空気が笑いに変わります。読み手の声色で怖さが調整できる、めずらしい本。1歳台は本気で泣くことがあるので、最初は昼間に、膝の上で。オチのカエルを指さすのが、小さい子の作法です。
10. ほげちゃんとおばけ(やぎたみこ/偕成社)|3歳から
発行年:2023年6月 ISBN:978-4-03-232710-6 対象年齢:3歳から 怖さレベル:★2
夜中におばけの絵本をこっそり読んだ、ぬいぐるみのほげちゃんが大パニック。怖がっているのが子どもではなくぬいぐるみ、という構図が、怖がりの子の心をふっと軽くします。巻末には劇中絵本『おばけのおまつり』を丸ごと収録。「怖い本は途中でやめていい」と教えてくれる、実はとてもやさしい一冊です。
11. ゆうれいとすいか(くろだかおる 作/せなけいこ 絵/ひかりのくに)|3〜5歳ごろ
発行年:1997年6月 ISBN:978-4-564-00656-2 対象年齢:公式表記なし(3〜5歳が目安) 怖さレベル:★1〜2
井戸のすいかを盗み食いした気の弱いゆうれいが、罪ほろぼしに蚊退治を引き受けます。ところてん突きから飛び出しての「ぱちん!」に、笑わない子を私は知りません。夏に一冊だけおばけ絵本を選ぶなら、季節の相性でこれが最有力です。
12. めっきらもっきらどおんどん(長谷川摂子 作/ふりやなな 画/福音館書店)|3歳から
発行年:1990年3月 ISBN:978-4-8340-1017-6 対象年齢:読んであげるなら3才から 怖さレベル:★2〜3
神社の木の穴から落ちた先は、妖怪たちの世界。縦にひらく大画面、丸暗記したくなる呪文、遊び疲れて帰ってくる結末まで、「行きて帰りし物語」のすべてが詰まっています。妖怪の登場で一瞬ひるむ子もいますが、読者からの評価はこの20冊のなかでも最高クラスでした。
13. ようかいしりとり(おくはらゆめ/こぐま社)|4歳から
発行年:2018年 ISBN:978-4-7721-0239-1 対象年齢:4歳から 怖さレベル:★1
Eテレの人気曲がそのまま絵本に。妖怪の名前でしりとりが続き、一体ずつ解説までついています。歌を知っている子は表紙で歌い出し、知らない子も言葉のリズムで入っていける。「きむないぬ」なんて妖怪、私もこの本で覚えました。
14. 妖怪横丁(広瀬克也/絵本館)|3歳ごろ〜
発行年:2011年3月(シリーズ第1作) ISBN:978-4-87110-186-8 対象年齢:公式表記なし(3〜5歳が目安) 怖さレベル:★2
妖怪たちが店を営む商店街へ、豆腐のおつかいに。文は少なく、絵を隅々まで「読む」タイプの一冊です。見返しの妖怪名鑑と本文を往復するうち、子どもは自然と妖怪の名前を覚えていきます。一つ目小僧を怖がる5歳もいれば、友だちと絵を眺めておしゃべりが止まらない3歳も。妖怪の世界への入口として、シリーズは2025年の新刊まで続いています。
15. ノラネコぐんだん おばけのやま(工藤ノリコ/白泉社)|3歳ごろ〜
発行年:2018年10月 ISBN:978-4-592-76235-5 対象年齢:公式表記なし(3歳〜が目安) 怖さレベル:★2
大人気シリーズの「ちょい怖」回。不気味な森、迷路のページ、そしてお約束の「ドッカーン!」。おばけの正体には日本の昔ばなしの知識がひとさじ要るので、化け狸がわかる5歳前後がいちばんおいしく読めます。2歳半で眠っていた本が、3歳で急に毎日の本になる──そんな「読みどきの遅れてくる本」でもあります。

心温まるおばけ物語〈5歳以上・小学生向け〉
5歳以上になると、「おばけって何だろう?」「どうしておばけが生まれたの?」と、より深く考えられるようになります。
心温まるストーリーや、知的好奇心を刺激する絵本で、おばけの世界をさらに広げましょう。
16. おばけと友だちになる方法(レベッカ・グリーン/岸本佐知子 訳/福音館書店)
発行年:2021年9月 ISBN:978-4-8340-8538-9 対象年齢:公式表記未確認 怖さレベル:★1
おばけの見分け方、好きな食べもの、好きな遊び。まさかの「取扱説明書」仕立てです。怖がりの子ほど、正しい知識(?)に安心して身を乗り出してきます。最後のページの余韻は、ここでは書きません。贈り物にするなら、渡す前にご自分で確かめてください。
17. くろいの(田中清代/偕成社)|3歳から
発行年:2018年10月 ISBN:978-4-03-332880-5 対象年齢:3歳から 怖さレベル:★3(ただし怖がるのは主に大人)
黒一色の銅版画で描かれる、正体不明の「くろいの」。面白いのは、ざわざわするのはたいてい大人のほうで、子どもはあっさり友だちになってしまうことです。日本絵本賞大賞(2020年)受賞。好みは分かれます。分かれるからこそ、合う子には生涯の一冊になります。
18. こわめっこしましょ(tupera tupera/絵本館)
発行年:2018年5月 ISBN:978-4-87110-399-2 対象年齢:公式表記なし 怖さレベル:★3〜4(年齢によって激変)
おばけたちと「怖い顔」でにらめっこする参加型絵本。実はこの本、0〜1歳は平気で、2〜4歳がいちばん泣くという逆転現象があります。怖さの意味がわかりはじめた年齢ほど直撃するのです。5歳を過ぎると一転、鬼と本気の怖い顔で対戦してゲラゲラ笑い出します。初めて読むなら昼間に、読み手が先に笑って「これは遊び」の空気を渡してから。スリルも含めて、設計のみごとな一冊です。
19. おばけずかん(斉藤洋 作/宮本えつよし 絵/講談社)|小学1年生ごろ〜 ※幼年童話です
発行年:2013年6月(第1作『うみの』『やまの』同時刊行) ISBN:978-4-06-198191-1(『うみの』) 対象年齢:公式表記なし(小学1年生前後が目安) 怖さレベル:★3
身近な場所のおばけを図鑑形式で紹介し、ちゃんと対処法まで教えてくれるシリーズ。「怖いけど、大丈夫」の設計が、怖がりの子のひとり読みを支えます。小1の教室で貸出の取り合いになる光景を、私は何度も見てきました。判型は絵本ではなく幼年童話なので、その点だけご承知おきを。
20. いるの いないの(京極夏彦 作/町田尚子 絵/岩崎書店・怪談えほん)|小学校高学年から(公式)
発行年:2012年2月 ISBN:978-4-265-07953-7 対象年齢:小学校高学年・中学生・一般(公式) 怖さレベル:★5(本気で怖い)
古い家の、天井の梁の上の暗がりに──いるの? いないの? 静かな和風ホラーの最高峰です。公式の対象年齢は小学校高学年・中学生・一般。幼児向けではありません。高学年の読み聞かせ会で読むと、教室の空気が変わります。必ず大人が先に読み、寝る前は避けて。それだけの準備をする価値のある、絵本という形式の底力を見せつける一冊です。
もっと怖い絵本を求める子には、この先に江戸の化け物絵巻をそのまま使った『ぞくぞくぞぞぞ』や、『おんみょうじ 鬼のおっぺけぽー』といった階段も続いています(こちらは改めて確かめてから、別の機会に)。

+α|20冊のつぎに出会ってほしい5冊
最後に、今回の20冊には入れなかったけれど、名前だけ覚えておいてほしい5冊を。じっくり紹介するのはまた別の機会に──そんな「つぎの一冊」たちです。
おばけのアッチ・シリーズ(角野栄子 作/佐々木洋子 絵/ポプラ社)|ひとり読みの入口に
45年読み継がれる、ちいさなおばけの名作シリーズ。ただし本領は絵本ではなく幼年童話で、開いたときの文字量に少し驚くかもしれません。『おばけずかん』と同じく、「自分の力で読みたい」年頃への橋としてどうぞ。
ゆうれいとどろぼう(くろだかおる 作/せなけいこ 絵/ひかりのくに)
本編で紹介した『ゆうれいとすいか』と同じ作り手コンビによる姉妹編です。夏はやっぱりすいかに軍配ですが、あのゆうれいの世界が気に入ったご家庭の「もう一冊」はこちら。
ねんねのおばけ(角野栄子 作/小学館)|2025年の新刊
『おばけのアッチ』の角野栄子さんが手がけた、2025年刊のあたらしいおばけ。読者の声はまだ集まりはじめたところですが、寝かしつけの棚に新顔を探しているご家庭は、名前を覚えておいて損はありません。
おばけえんはすぐそこです(絵・石黒亜矢子)
妖怪画で人気の石黒亜矢子さんが絵を手がけた一冊。その迫力ある絵は、妖怪好きの子ならきっと目を離せなくなるはずです。いつか必ずじっくり紹介したい、と思わせる存在感があります。
おばけやしき(大型しかけ絵本)
ページから飛び出すしかけの迫力は、体験としてとびきり強烈。ハロウィンの空気をまとった一冊なので、夏より秋のおたのしみに取っておくのがおすすめです。
関連シリーズで広がるおばけ絵本の世界|書店・図書館で探せる人気作
おばけ絵本の世界は、まだまだ広がっています。書店や図書館に足を運ぶと、ここで紹介しきれなかった人気作にも出会えるでしょう。
講談社や童心社など、さまざまな出版社からおばけ絵本が出ています。お店のおばけコーナーを親子で探検するのも、楽しい時間になるはずです。
図書館では、司書さんに「うちの子に合うおばけ絵本はありますか?」と聞いてみるのもおすすめ。お子さんの年齢や好みに合わせて、ぴったりの一冊を教えてもらえることも多いですよ。
また、おばけや妖怪への好奇心をもっと深めたいご家庭には、パーソナライズ絵本という選択肢もあります。
マイステラの『さがして!みつけて!ふしぎなせかいりょこう』は、子ども自身が物語の中に登場する探し絵の絵本。魔法使いやドラゴン、おばけ、妖怪などが暮らす不思議な世界をめぐりながら、ページの中に隠れた自分や家族を探していきます。



「おばけのくに」や「ようかいのくに」も収録されていますが、怖がらせることが目的ではありません。少し怖くて、でもどこか楽しい。そんな世界観の中で、親子の会話が自然と生まれます。
髪型や肌の色など見た目を選び、家族やペットも最大6人まで登場させられるのが特徴。「ここにママがいる!」「パパ見つけた!」と、読むたびに新しい発見があります。一般的なおばけ絵本が「外から眺める」体験だとすれば、この商品は「自分が物語の中に入る」特別な体験。不思議なものへの好奇心や想像力を、家族みんなで広げられる一冊です。

親子で楽しむおばけえほんの読み聞かせ術
お気に入りのおばけ絵本が見つかったら、次は読み聞かせのコツをおさえましょう。ちょっとした工夫で、絵本の時間がもっと楽しくなります。
怖がる子どもへの声かけと「こわくないよ」の安心感の作り方
おばけ絵本を読んでいて、子どもが怖がってしまったら?
まず大切なのは、「怖くないよ」と否定しないこと。子どもにとっては、その怖さは本物の感情です。「怖いって思ったんだね」と、まずは気持ちを受け止めましょう。
そのうえで、「一緒に見てみようか」と誘ってみてください。親が隣にいて、明るい声で読んでくれる。それだけで、子どもの安心感はぐっと高まります。
声の調子も大切です。おばけが出てくる場面では、わざとひそひそ声にしたり、おどけた調子で読んだり。「怖い」を「おもしろい」に変換するのは、読み手の腕の見せどころです。
もし途中で「やめて」と言われたら、無理に続けなくて大丈夫。また別の日に、違う絵本から試してみましょう。おばけとの付き合い方は、子どもそれぞれのペースがあります。
寝る前・雨の日・お店での待ち時間…シーン別活用法
おばけ絵本は、読む場面によって楽しみ方が変わります。
寝る前に読むなら
『ねないこだれだ』のような短い絵本がおすすめ。夜の雰囲気とおばけの世界観がリンクして、特別な時間になります。ただし、興奮しすぎて眠れなくなる子もいるので、お子さんの様子を見ながら選んでくださいね。
雨の日のおうち時間に
外で遊べない日は、おばけ絵本の冒険日和。シリーズものを何冊も読んだり、おばけのまねっこ遊びに発展したり。「おばけごっこ」で部屋中を探検するのも楽しいですよ。
病院やお店での待ち時間に
静かに待たなければいけない場面では、小さな声で読める短い絵本を。『妖怪横丁』のように、絵を見るだけでも楽しめる本なら、声を出せない場所でも活躍します。
おばけ絵本は、「読んであげる」だけが楽しみ方ではありません。「このおばけ、何してると思う?」「おばけも夜ごはん食べるのかな?」と、子どもと一緒に想像を膨らませる時間を楽しんでください。
絵本の中のおばけたちは、親子の会話を広げてくれる、頼もしい存在です。怖がりな子も、おばけ大好きな子も。それぞれのペースで、不思議で楽しいおばけの世界を冒険してみてくださいね。

